【ビッグな】ジョージの酒飲み配信【サプライズ!?】

「ハイどーもぉ、ジョージでーす」

「――!」

『ハァイ、ジョージィ』

『オーロラちゃんもオッスオッス!』

『あれ?酒はあれども料理無し?』

『今日は酒オンリー?』


 コメントの通り、今机の上に載っているのは500ml缶のストゼロとオーロラ用のキャップのみ。料理が用意されていないのだ。だからって酒飲むだけの配信ではない。俺の配信は料理もセットで完成するのだ!


「ふっふっふ、まぁまぁ皆さんそう早合点しなさんな。今から出すからよぉ!」

『芝居がかってんな』

『ちゃんとあるのね』


 実は料理自体は完成しているのだが、視聴者を驚かせるため机の下に待機させていたのだ。正直、そいつの匂いで俺のお腹は気を抜いたら虫が鳴いてしまいそうなほどだ。両手で抱えなければ持てない程大きな皿に載ったそれを俺はしっかりとカメラに映るように机に乗せた。


「そぉらよぉ!」

『はぁ!?』

『でっっ』

『でっか』

『草』

『そんなデカいのあるんかw』

『しいたけかこれw』


 そう、今日の酒のお供は山ダンジョンで見つけた滅茶苦茶カサのデカいしいたけだ。何と26㎝の大皿ピッタリのサイズで見つけた時はテンションが上がったものだ。勿論、受付の方で鑑定してもらった結果、食べられる品種――というかしいたけそのものらしく突然変異でここまで大きくなったものらしい。

 軸の部分は切り落とし、かさの部分だけをフライパンでじっくりと焼いた。軸は明日のみそ汁の具にでもするつもりだ。


「今日は巨大しいたけのステーキだ!味付けはバター醤油!」

『ド定番。だがそれがいい』

『オーロラちゃん寝れそうね、これ』

「あー、実際寝たよ?」


 山ダンジョンの隠しエリアにいたオーロラでも、これだけデカいしいたけは見たことは無かったらしく、採取する前トランポリンみたいに跳ねたりそれこそ寝もしたんだけど……


「匂いがきつくてベッドには向いてないって」

「――」


 肩を竦めてやれやれと言わんばかりのオーロラ。それはこっちの台詞だが?


『それはそう』

『しいたけの匂いのするベッドは嫌だなw』


 さて、早速食べようか。普通サイズのしいたけならば、箸で持ち上げて一口でパクっといけるのだが、このサイズをパクっは無理だ。本当のステーキ宜しく、ナイフとフォークを使って綺麗に切り分けていく。

 コメントで『そのまま齧り付かないの?』って来たけどそんなことしてみろ、服が死ぬ。オーロラは最初そのつもりだったが、必死に言い聞かせて止めさせた。君、元男の俺以上に服に頓着しなさすぎじゃない?そろそろ注文した服届くから無茶な喰い方は待ってね?

 ではしいたけ入刀……っ!おお、ナイフを入れた先からしいたけの旨味が溶け込んだお汁が皿に流れる。


「おほー、汁が溢れよる!」

『これだけで酒イケるのでは?』

「間違いないな」

『うっそだろお前』

「嘘……?」

「――?」

『え?イケるだろ』

『イケるイケる』

『まともなのは僕だけか……!?』


 俺の分を切り分け、次はオーロラの分を。いやいや、オーロラさん。流石にそのままはダメだからね。さいころサイズに切り分けるからね。え?もっと欲しい?もう皿から溢れそうだからおかわりするときにまた入れるから!


「よし、それじゃあいただきます!&乾杯!」

「――!」

『kp』

『kp』

『kp』

『kp』

『kp』

『kp』


 フォークで切り分けたカサを差し口に運ぶ。うわっ、あんなにデカかったくせにスッと歯が通る!しかも噛む度に旨味のお汁が口の中を潤す。オーロラも満足いく味のようで足をバタバタとさせ、いかに美味しかったか表現している。

 いや、これはフォークが進む進む。と同時にちょっと後悔。この状態でこれだけの旨味なら、干しシイタケにすればどれほどの旨味を生んだことだろう。半分残しておけばよかった……!


『あの』

『おーい』

『配信なんすけど?』

『何かしゃべれw』

『ASMRかな?』

『なるほど、そう捉えればいいか』

『オーロラちゃんのASMRまってます』

「そんな上等なマイクないし、やる予定ないぞー」

『安いのだと6千~1万とかあるよ?』

「やらんて!」



「ぷはぁ、喰った喰った」

「――♪」

『ほとんど無言で食べやがった』

『そしてよく入ったな。ジョージは元よりオーロラちゃんも』

「俺もそう思う」


 お腹をぷっくりと膨らませて満足そうに寝転ぶオーロラ。そこに華麗に舞う妖精の姿は微塵も感じさせない。本当にあの体の中のどこにシイタケが入ったんだ?Aカードとおんなじ構造になってない?


『でも、こんだけデカかったらバーベキューで焼いたら映えてたかもね』

「バーベキュー……キャンプかぁ」


 男の時は気が乗ればフラーっと行っていたなぁ。最後に行ったのは丁度去年辺りだったか?何かそう聞くと久しぶりにキャンプ行ってみたくなったな。


『お?エルキャン△編来る?』

『キャンプはいいぞ。』

『いや、ジョージ外出て大丈夫なん?キャンプ場いったらすぐ特定されそう』


 コメントの懸念は最もだ。今世間はキャンプブームで人っ子一人いないキャンプ場なんてそうそうないだろう。ならば、山の中とか国が管理しているところであまり知られていない場所……うん?山の中?あっ


「出来るかも。キャンプ配信」

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