【何でもは答えないわ】木々鹿のスペアリブ~ジョージの質問コーナーを添えて【答えられる分だけ】
「はい、ジョージの酒飲み配信にようこそー」
『開幕現場猫ポーズしてるオーロラちゃそ』
『何でそんなドヤ顔なの?w』
「良くも悪くも、ネット社会で色々覚えてるみたいなんだよね」
「――♪」
現場猫ポーズが視聴者にウケて満足したのか、早速鹿のスペアリブに齧り付くオーロラ。スペアリブは大量に焼いたつもりだが、オーロラの食欲的に俺も早く手を付けなければ食い散らかされてしまう。負けじとスペアリブに手を付ける。
家にあった香草をふんだんに使ったためか、嚙んだ瞬間からいい香りが鼻を突き抜ける。肉汁が舌へ流れ、肉の旨味がダイレクトに伝わってくる。あぁ、駄目だ。少しは話さなきゃいけないのに口がビールを求めてしまう――!
「ぷっはぁーっ!美味い!」
「――!」
『手を拭う動作までシンクロしとるw』
『質問コーナーマダー?』
『は?むしろこっちがメインだろ』
「待って、せめて一本は食べさせてな」
喰いかけのまま放置はお行儀が悪いからね!しっかりと周りの肉を噛みながらそぎ落とす。骨の所についている薄い皮のところもね!正直、スペアリブで一番おいしいとまで思っている。
一本喰い終わり、ビールも一缶飲み切ってしまった。おっと、オーロラのコップもといキャップも空っぽだね。
「まま、社長一杯」
「――!」
『オーロラちゃそが社長なのか……?』
『当たり前だよなぁ!?』
「さて、酒も入ったことだし、早速始めていきましょうか。ジョージの質問コーナー!」
『ktkr』
『舞ってた』
『踊ってろ』
パソコンを操作して質問箱を開き、ピックアップした質問のうちの1つを配信画面に表示させる。まずはこれだ。
【エルフになって変わったことって何ですか?】
「まず見た目」
『そもそも性別が変わってる件』
「この際、性別は抜きにしても表面上の筋肉が消えたのは地味にショックだったね。見てよ、このシミ1つない細っこい腕」
『prpr』
『TS前の動画見たけど本当に筋肉収縮してんのね』
男の時は少し腕を曲げただけで力こぶが浮かんできたのに今では見る影もない。が、それは本当に見えないだけだったりする。口で言っても、視聴者は信じてくれないだろうし、武道さんに見せたようにリンゴを用意します。
「はい、ここにリンゴがあります」
『This is apple』
『何故このタイミングでリンゴ?』
『握りつぶすの?』
「はい」
ぐしゃっと。何の気なしに前振り・掛け声一切無しでリンゴはもれなく爆発四散!サヨナラー!事前に打ち合わせをしていたので、オーロラは天井あたりに緊急避難してもらっていた。
事前に練習していてよかった。ぶっつけ本番でやっていたらパソコンとカメラに果汁がブッかかっていたかもしれない。
『はいじゃないが?』
『リンゴが潰せる握力は大体80キロ。それでも踏ん張りとか必要なはずでは?』
『力を制御できない悲しきモンスターになってない?』
「制御できてるできてる。ただ、体感粘土を握りつぶすくらいには楽になってるね」
『ヒェッ』
『あーでもエルフになら頭絞められてもいいかも』
とりあえずこれで俺が屈強なエルフだと思ってくれることだろう。遠くない未来知らない人と関わることもあるだろうし、弱者じゃないアピールをしておけば変なことをしてくる輩も少なくなるだろう。
これを皮切りにどんどん質問を読んでいこう。
【オーロラちゃんは身長どれくらい?】
「はい、実際に測ってみましょう。オーロラー」
「――!」
「えーっと、12㎝だね。体重測る?あ、駄目?」
「――!!」
『妖精も乙女なんやなって』
「俺は154㎝の43キロ」
『アンタはもうちょっと羞恥心もってもろて』
「ンなこと言われても」
【エルフっぽい事言ってください!】
「ただのリクエストじゃねぇか!」
『神聖な森を汚すとは何のつもりだ人間!みたいな?』
「えーゴホン。人の子などハラミTo Night」
『棒読みw』
『選出よ』
『それエルフと言うよりお狐様では?』
【スリーサイズ教えてください】
「はい、滅茶苦茶ありましたねこの質問。質問した人はリンゴと同じ末路を辿ってもらいます」
『許してクレメンス』
『上か下か、それが問題だ』
【好きな食べ物はなんですか?】
「これ、一番とか書いてないんだよね。だからまぁ……酒に合うものは大抵好きかな」
『嫌いな食べ物は?』
「わけぎのぬた」
『即答w』
『分からなくもない』
『え?美味しくね?』
「あれはね、子供の時に食べてトラウマものだよ」
「――!」
「オーロラは嫌いなものはないってドヤってます」
『好き嫌いしないのはいい子』
【神を信じますか?】
「宗教勧誘やめーや」
『草』
『でもダンジョン作り出したのは神って説はあるよね』
『じゃなきゃ説明がつかないってのもあるかもけど』
「神ねぇ、いるとは思うけど特に思うところはないかな」
『逆にジョージ、宗教の宗主として崇められたりしてw』
「はは、まさか」
【エルフになってよかったと思う?】
「別に?いきなり別種族にされるのはねぇ……」
『外から見る分にはいいけど実際はきついだろうね』
『TS病も苦しんでる人多いし』
【アニメは見るの?】
「見る見る。割と女児アニメも見たりするよ?」
『がんばえーってするの?』
「俺はしないけどオーロラはする」
「――♪」
「いや、流石に映画館は厳しいかなって」
『休日外に出たくないお父さんかな?』
『娘さんを僕に下さい!』
「やるか」
【オーロラちゃんに服を送りたいんですけど、住所教えてくれませんか!?】
「気持ちは嬉しいけど住所はダメでしょ」
『匿名配送サービスあるやで』
『送る側と受け取る側どっちも登録しなきゃダメだけど』
「へぇ、そんなのあるんだ。分かった、登録してTwitterにでも貼っておく。オーロラ、服送ってくれるって」
「――!」
「そうだな、送られてきたらそれ着てTwitterに写真上げような」
『是非そうしてくれ』
『オーロラちゃんのオシャレで救われる命もある』
『さらにジョージが可愛い服着れば倍プッシュだ!』
「えぇ?俺はいいよ?」
『は?』
『は?』
『は?』
『は?』
『は?』
『圧力w』
『いやいや、ジョージ。ぶっちゃけ自分可愛いと思わないの?』
「思うけどさ」
『じゃあ着ろよ!』
「魔が差したらね!」
『可愛い服着ることが魔なのかよ!』
【どこに住んでますか?】
「地球です」
『火星って言ったらビビるわ』
『じょうじ……ハッ!』
「関係ないからね!?」
【ゲーム何やってる?】
「スプラッシュトゥーンとかブラスマとかパケモンとか」
『定番所だね』
『ゾニー系は?』
「PSP持ってたことはあるけどそれ以降は無いね」
【ダンジョンについてどう思う?】
「どう?……どう?金の生る木?」
『正直に言うなw』
「リスクはあるけどね、それに見合ったものもあるし。ただ、積極的に潜るのはおすすめしないけど」
『国的には冒険者増えて欲しいらしいけどね』
『そりゃダンジョンで獲れるものは色んなものに使えるからねぇ』
ふむ、こんなものだろうか。回答済みの答えとスペアリブの骨が積み上がったところでそろそろ終了にしますかね。
「ほんじゃ今日はこれまで。結構好評みたいだから、時々やろうかね」
『そうして』
『次まで全裸待機してる』
「服は着ろな?んじゃサヨナラーッ!」
「――♪」
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