【スーパー球岸】刺身の盛り合わせにも大葉は重要です【好きなのは鯛】

「んぐっ!んぐっ!ぶっはぁー!!」

「――!!」

『開幕から親子で酒一気飲みすんなw』

『うーん、これはドワーフ』

『飲まなきゃやってられないって奴?』

『スーパー球岸の常連ってマ?』


 コメントの通り、配信を始めると同時に350ml缶のスーパーでドライなビールを一気飲む俺とキャップに注がれた分を飲むオーロラ。別にエルフになる前からやってたことなんだけどね?

 ……スーパー球岸とは、今日配信前に買い物に行ったスーパーだ。男の時もスーパー名をツイートした覚えは無いし、エルフになってからは猶更――そもそもスーパーに行ったこともツイートしていない。

 なら何故コメントでスーパー球岸の名前が出たのか?まぁ、早い話が晒されたんだよね、見事に。確認したけれど、見事に俺だったしシーンは俺が車に荷物を詰めているところだ。あの時聞こえた音は間違いなかったんだね!じゃねぇんだわ。


「いや、別に一気飲みしてるのは喉乾いていたからなんだよ。オーロラは……喉乾いてたの?」

「――!」

「一気飲み美味しい!とのことです」

『アカンとこ目覚めてない?』

『やっぱ親子は似るんやなって』

『球岸で何買ったん?』

「野菜とか日用品。あと目の前の魚とかね」


 今日の酒のお供は、刺身の盛り合わせ。これは俺が切ったものではなく、スーパーのパックそのままさらに盛り付けている。いやぁ、色んな刺身を楽しめるから盛り合わせは大好きよ。

 勿論、オーロラも食べている。サイズ的にあれだから流石に俺が小さく切ってあげてるけどね。ちなみに素手で食べるというストロングスタイル。オーロラサイズの箸やフォークスプーンが見つからないのよ……でもそのおかげか、食べる姿はどこかワイルド。


『晒されたこと、あまり焦ってない?』

「まぁねぇ、いずれバレただろうしそれが早まっただけともとれる。幸い、家がバレたわけじゃないしね」

『何で家まで追跡しなかったんだよ!アホッターがよぉ!』

『住所教えてください』

「俺がエルフとか抜きで犯罪だからね?エルフならOKとかならんからな?」

「――!!」

「オーロラさんも怒ってらっしゃる」

『ごめんね、オーロラちゃん!』

『妖精だってやっちゃダメな事理解してんのにお前らと来たら』


 俺を晒しやがった糞野郎、最初はもてはやされていたみたいだけれど、次第に風向きが変わっていった。そりゃ盗撮だからね。叩かれないわけがないんだな、これが。その本人からDMで「許してください」みたいなメッセージが来たが、とりあえず無視してる。


「ぷはぁ。家凸したら躊躇なく警察呼ぶからね?」

『至極当然なんだよね……』

『呼ばれると分かってもやる奴は残念ながらいるけどね』

『そう言ってるうちに3本目とか酒進みすぎぃ!』

「ま、暫くはスーパー球岸は車一杯停まるだろうなぁ。ただし、買い物客かどうかは……ね」

『もしかして→違法駐車』

「マジで止めてね。俺が原因じゃないのに原因にされるから」

『そこがネットの怖いところなんやなって』


 本当にたくさん買い込んだから暫くは行かなくて大丈夫だとは思うけど、そこは心配。ただ買い物していただけなのに、炎上とか笑えないんですけど。


『ってことはスーパー球岸近くのダンジョンに行けばジョージに会えるのでは!?』

『ネットではもう色々リストアップされてるみたいやで』

『よく行ってるのは山ダンジョンなんだっけ?』

「そういうの本人の配信でコメントするかなぁ!?」


 当然の流れでダンジョンについても調べられているが、ここら辺山ダンジョン多いんだよね。だからそっちはあまりバレないと踏んでいる。絶対は無いから覚悟は決めておくけどね。

 なんて少しコメントを集中して読んでいたら、何か腕がバシバシと叩かれてる。オーロラ?


「――!――!!」

「あぁ!オーロラがわさびに当たっておられる!」

『流石の妖精もわさびには勝てぬか』

『ごっそりいったんやろな……』

「ほら、鼻で息吸って口で吐いて!」

「――!」

『ひっひっふーのリズムだぞ!』

『ラマーズ法じゃねぇか!』


 どうにか辛さは収まったようだな……それでもめげずにわさびに手を伸ばすあたり、オーロラは立派な酒呑みになること間違いなしだな。

 おっと、そうだそうだ。今日はちょっとした企画を考えてきたんだ。


「次の配信の時な、質問に答えようと思ってな」

『mjd!?』

『スリーサイズは聞いてもよろしいの!?』

「答える質問俺が選ぶんだが?」

『そんな殺生な!』


 スリーサイズなんて誰が答えるかっての!こちとらVtuberとかじゃなくて生身やぞ!

 勿論、当たり障りのない質問に答えるつもりだが、選別の時は精神抉られそうな気がするなぁ。


「とりま質問箱設置しとくからよろしくー」

『ぐへへ、ヤバい質問してやるぜ』

『ぐへへ、今日の朝ご飯は何でしたかって聞いてやるぜ』

「お茶漬けだわ」


 なんやかんやでノリがいいな、こいつら!ついつい笑いが零れてしまう。

 ふと、オーロラの方を視線を移すと、あんなに痛い目見てたはずなのに、今ではわさびだけで酒を飲んでいた。この子の将来が心配です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年10月22日 17:00

TSエルフさんの酒飲み配信~たくさん飲むからってドワーフじゃないからな!?~ @gin_17_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ