【結果はっぴょぉー!】検査から帰って酒飲むエルフ【浜ちゃん風】

「――という訳で検査に行ってきたよ」

『どういう訳だってばよ……?』

『ちゃんと病院に行って偉い』


 検査を受けた翌日、早速配信を開始し、酒を飲みながら昨日の流れを説明した。当然だが、武道さんと粒源先生の名前は伏せてある。いくら酔っていてもそこはしっかりとしなきゃね。武道さんはともかく、粒源先生はあまり気にしなさそうではあるけれど。

 それにしても、エルフ効果は凄いなぁ……昨日まで3人なのが今では3万人オーバーって。嬉しい半分困惑半分。いや、嬉しい2/5くらいか?


「色々検査されたよ。血液とかMRIとか――ありとあらゆるところまで検査されて途中からは実験動物の気分だったね」

『あながち間違いではないのでは?』

『ありとあらゆるところをkwsk』

「だーれが言うかーい」


 隅から隅まで話したら垢BANされかねないからね!

 さて、少し話したら喉が渇いてしまった。黒霧島のロックで喉を潤すと用意しておいた牛筋煮込みを口に入れる。牛筋肉から滲み出る出汁が本当に最高。何杯でもいけてしまう。これで、うどんを作るのもまたいいかも知れないね。


『見せつけやがる』

『手作りなん?』

「ハッハァ!ちゃんと手作りさ!電気圧力鍋があるからな!」

『あると便利よね』

『ジョージちゃんの手料理食べたいです^p^』

「ちゃんはやめろ。こちとら元男ぞ」

『男が男からちゃん付けとか鳥肌もんよな』

『ところで肉大丈夫なんだね?』

「全く問題ないね」


 エルフと言うのはフィクションの中では菜食主義者として描かれることが多いけれど、俺は肉を食べることに一切に忌避感を覚えない。寧ろ進んで食べたいくらいだし、実際に食べても気持ち悪くなったりなどしない。これは魚でも同じだ。


「酒も入ったところで?皆さんが気になるのは検査の結果だろう?」

『分かってんじゃあねぇか!』

『ほらとっととキリキリ吐くんだよ!』

『吐しゃ物は勘弁な!』


 配信で吐くもんか。それこそ黒歴史になってしまうわ。

 さて、検査の結果かー。一応粒源先生に確認は取ったけれど、話してしまっても問題ないらしい。そこは俺に任せるんだと。


「まずは、俺がエルフなのか――ただ、耳が伸びてTS病になっただけの哀れな男なのか」

『そういやAカードって種族の項目があったよね?』

『あれ意味ないもんだと思ってたけどまさか?』

「はい、エルフでしたー!」


 俺のAカードを病院で更新させてもらったのだが、「種族:人間」だったはずの項目が「種族:エルフ」へと変化していた。さらには性別の欄も男から女に変わっていた。Aカードは偽装できないと言われているから間違いないだろう。


『ものっそいあっさり言うww』

『人類初めてのエルフかー俺もなれっかな?』

「言っておくけど、俺から提供できる情報は無いよ?見てないけどどーせ、TwitterやYouTubeじゃマジカルマッシュルームを天ぷらにしてそれを肴に酒飲む動画が溢れてるんだろ?」

『Exactly!』

『日本のみならず海外までおんなじことしてるよ』

『なお、海外は天ぷらじゃなくてフライになる模様』


 俺がエルフになったのはマジカルマッシュルームの抽選に当たってしまっただけだろう。それがどんな天文学的な確率か分からないけど、天ぷらにしたことと酒を飲んでいたことは全く関係が無いだろう。そんなのでなれてたらとっくに俺より先にエルフになった人がいるだろうからね。


「次に分かったことは、俺は俺、ジョージ本人だってことだ」

『どゆこと?』

「いやね?一致したのよ、エルフになる前の俺とエルフになった俺のDNA情報がね」

『あぁ、精神以外が異世界のエルフと入れ替わったって可能性もあるのか』

『異世界とかwあるわけないだろw』


 この結果は本当にありがたかった。もし、この体がどこかの誰かしらさんの物だったら下手に傷つけられないからね。そう考えると俺自身で良かったとも言える。


「後はーそうね、至って健康体。人類に害を及ぼすような病原菌は確認されなかったよ。Aカードも状態欄は健康だった」

『下手したら隔離もしくはその時点で殺されていた可能性もあったね』

「ゾッとする話止めてね!?」


 隔離云々は実際に粒源先生に笑いながら言われちゃったよ。「隔離されたら存分に実験できるんだけどねぇ、もちろん冗談だけど」とか、絶対冗談じゃないよ。目が残念さを隠しきれていなかったよ!?

 この話は酒で流して忘れよう。うーん、度数が高いだけにポカポカするねぇ。


『スキルはどうなん?増えた?』

『おせーて』

『知りたいです』

「内容は言えないなぁ、ただ増えはしたよ?」


 ダンジョンに潜るためにパーティを組む場合はスキルの情報共有は必要とされているけれど、普段でのスキルの開示はあまり推奨されていない。スキルを知って利用しようとする輩も少なくは無いからね。

 それでも配信内で目立ちたいがために自分のスキルを思いっきり公開している人もそれなりにいる。俺もエルフになったことで少し特殊なスキルを得てしまった。これを安易に開示するわけには行かないかな。


『そりゃそうか』

『でもエルフなんだから弓に関するスキルはありそうw』

『エルフ、大体遠距離説』


 こんなところかな。そろそろグラスも空いてきたし牛筋煮込みも数個のこんにゃくを残すのみだ。

 コメント欄からは色々と質問が来ているようだが、一々拾わなくてもいいだろう。そんなことしてたらキリが無いからね。


「そんじゃ、そろそろ配信は終わるよ!明日はちょっとダンジョン潜ってみるから!」

『おっダンジョン配信クルー?』

『楽しみ!』

「残念、ダンジョン配信はしない!このチャンネルは酒飲みチャンネルだからね!」


 ブーイングのコメントが物凄い流れるが、俺は意思を曲げるつもりはないので諦めて欲しい。……そもそも一人でカメラ片手にダンジョンとかいう危険地帯潜れるかっての!ああいうのはちゃんと人がいて実力がある人じゃないとだめなの!


「ほんじゃね、ジョージの酒飲み配信これにて終了!」

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