お隣の女優とオープンキャンパスの話 二

 そして、大学の職員の説明が終わると続いて、体験授業に参加した。


 体験授業が終わると、後は自由に大学の中を見て回って良いとの事だったので、僕と水野さんは現在、二人で廊下を歩いていた。


「水野さん、この後は何処に行きますか?」


「そうだなぁ。実は少し前からお腹が空いていて、出来れば食べたいんだけど、学食とかってやっているのかな」


「どうなんでしょう? 取り敢えず行ってみるだけ行ってみますか?」


 僕の言葉に水野さんが頷いたので、僕達は学食を探して廊下を歩いた。


 そうして、少し進んだ所で地図を見つけた僕は、食堂が何処にあるのかを探し始めた。


 すると、どうやら僕達が今居る場所からそんなに離れていない事が分かり、僕は水野さんに、「この付近にあるみたいですよ」と、声を掛けた。


「本当? そうしたら早く行こう」


 地図通りに廊下を進むとすぐに食堂が見えてきた。


 そこで食事をしている人の姿も見られたので恐らく営業はしているだろう。


 そう思った僕が、「ご飯、食べれそうですね」と声を掛けた。


 僕の言葉に水野さんは頷くと、「あそこで食券を買うみたい」と言って、食堂の隅に設置してある券売機を指差した。


 僕と水野さんは券売機の前に移動すると、一緒に食堂のメニューを見た。


 メニューには定食やパスタ等様々な種類があった。


「大学の学食って結構種類が豊富にあるんだね」


「そうですね。色々なメニューがある事もそうですが、それ以上に驚いた事があります」


「ん? 何に驚いたの?」


 僕の物言いが気になったのか、水野さんは興味深そうに尋ねてきた。


 僕は券売機に書いてある唐揚げ定食の文字を指差した。


「唐揚げ定食が安すぎるんです!」


「確かにそう思うけど、他のメニューも同じくらい安いと思うよ?」


 不思議そうに首を傾げながら言った水野さんに、僕は首を横に振ると口を開いた。


「確かに他のも安いですけど、唐揚げは油の処理とかが面倒くさいんです。それなのに、この値段だと、自分で作るのが馬鹿馬鹿しくなりますね」


「あー、確かに大変なイメージがあるかも」


 水野さんはそう言うと僕の顔を覗き込んだ。


「そうしたら、隼人君は唐揚げ定食にする?」


「そうですね。どんな感じなのか気になるので、唐揚げ定食を頼んでみます」


 僕はそう言うと、券売機にお金を投入して唐揚げ定食のボタンを押した。


 発券された物を取ると、僕は、「水野さんは何にしますか」と、尋ねた。


 水野さんは僕の質問に、「うーん、どうしようかな」と悩んだ様子を見せると、「オムハヤシライスにしようかな」と言って、券を購入した。


 そうして、僕は、「楽しみだな」と言う水野さんと共に、券を受付に出しに向かったのだった。

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