お隣の女優と嫉妬の話 一
そろそろ六月も終わろうとしているある日、いつも通り水野さんとの夕食を終えた時の事だった。
「あっ、そう言えば、この前言っていた友達のチャンネルに出た時の動画が出るのが、確か今日だったかも」
ふと思いついた様に呟いた水野さんの言葉に、僕は驚いた。
「えっ、そうなんですか?」
動画とは、水野さんのお友達とゲームをする動画を撮ると言っていた件だろう。
その時にゲームで負けたくないという理由で僕の家で練習をしていた時の事を思い出した。
その事がきっかけで水野さんはゲームにハマり、夕食後にゲームをするという流れが普通になりつつあった。
僕の言葉に水野さんは頷くと、壁に掛けられた時計を見上げた。
「確か、もう公開されているかも」
水野さんの言葉を聞いて、僕はリモコンを手に取った。
「そうしたら、観てみましょうよ」
「えっ、テレビで観るの?」
「スマートフォンだと画面が小さいですから」
僕の言葉に水野さんは、「自分の出ている動画を人と観るのは恥ずかしいよ」と、なおも渋った。
「でも、ゲームの操作方法を教えた身としては、水野さんのプレイの様子を一緒に見て確認したいです」
僕の言葉に水野さんは、「うっ、そう言われると弱いな」と言うと、渋々といった様子であったが、チャンネル名を教えてくれた。
「ありがとうございます」
僕はそう言うと、リモコンを操作してそのチャンネル名で検索をした。
すると、トップに出てきた動画のサムネイルに水野さんが映っていた。
今まで水野さんをテレビや広告等で見かける機会はたくさんあったが、本人が隣に居る状態で観る事は無かったので、僕はなんだか楽しい気持ちになってきた。
「この動画ですか?」
念の為、僕が確認すると、水野さんは、「そうだよ」と、恥ずかしそうに呟いた。
それを確認して、僕が決定ボタンを押すと、動画が再生され始めた。
動画では、まず水野さんの友達が少しトークをした後、水野さんを紹介した。
水野さんの自己紹介が終わると、早速ゲームをプレイする流れになった。
キャラクターを選択する画面で水野さんが選んだキャラクターは僕とゲームをしていた時も良く使っていたキャラクターだった。
「いつも使っているキャラクターにしたんですね」
「うん、やっぱり愛着があったから」
そんな話をしていると、相手もキャラクターを選択し終えて、対戦が始まった。
やはり相手の方が上手く、動画は水野さんがコツを教えて貰うという流れで進んでいった。
しかし、ゲームの操作方法を教えた身としては、最初の頃に比べて格段に上達をした水野さんのプレイを見て、僕は嬉しくなった。
水野さんの友達も、「こんなに上手いとは思わなかった」と言って、驚いている様子だった。
「水野さん、本当に上手になりましたね」
僕の言葉に水野さんは、「隼人君のお陰だよ。たくさん練習をしたからね」と言って、得意げな表情を浮かべるのだった。
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