第4話
今、アルフレート・ハンスは十六歳。
マティアスの約束通り、四年で暗殺者としての修行を完了させた。
そして、十六歳の誕生日の夜。
部屋にて...
「よく頑張ったな、ハンス」
マティアスさんが俺の頭を撫でながら言う。
「きつかったですよ、本当に。」
「ま、暗殺者はそう簡単なものじゃねぇってことだ。でも、乗り切ったんだ。これからは暗殺者として、しっかり働いてもらうからな。」
「わかってますよ、ここまで育ててもらった恩は絶対に返します。」
「そういえば、マティアスさん? ハンスに仕事用の名前はつけましたか?」
「...ああ、忘れてた。 ま、今日が十六歳の誕生日だしちょうどいいか。」
うん、なんか気づけばマリーさんに呼び捨てにされてるんだよな。
別に悪いわけじゃないが...ま、そもそもマリーさんの方が年上に決まってるよな。
俺が十二歳の時点ですでに、働いていたし...なんというか、同年代には出せない落ち着きというか....
...よく考えれば、マティアスさんもマリーさんも、名前以外何も知らないかも。
なんだかんだ、四年間一緒にいたわけだけど...聞く機会もなかったし。
「...名前かぁ、毎回悩むんだよなぁ。マリー、何かいい案ないか?」
「え、私に振るんですか...」
「あぁ、お前が身の回りの世話とかしてきたわけだし...実質親代わりだろ。」
「ハンスは、どっちがいいですか?」
と、二人の視線がこっちに向く。
え...そんな風に聞かれても...
お任せでお願いしたいんですけど....
「まぁいいです、そういうことなら私がつけます。文句はなしですからね。」
「あ、はい...」
「...」
それでも、悩んでる様子。
まぁ、どっちにしても仕事用の名前だし...適当でもいいんだけど
「あ。」
「何か思いついたか?」
さっきまで悩みに悩んで頭をかかえていたマリーさんの顔が突然上がる。
「レイ、はどうですか?」
「...いい名前じゃないか、ハンスはどう思う?」
レイ...この世界ではあまり聞かないような響きだけど、直感的に...いい感じだ
「何か由来とかあるのか?」
俺がうなずいているのを見て、マティアスさんが気になっていたであろう由来について聞く。
「確か、異世界から召喚された勇者見習いたちが使ってた数字だったはずです。 その中の...いわば、始まりの数字。どれだけ大きな数字にでもなれる。きっと、ハンスはこのギルドを守っていってくれる。」
うーん...過大評価じゃないですかね
そんな期待されても...
てか、随分最初の頃からマリーさんの印象が変わってるような...
「じゃ、そんな感じで決まりだな! 頑張れよ、レイ」
「あ、はい...」
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