混沌非存在06
「そうか。それは大活躍だったな。世界を救ったヒーローになったと言うわけだ」
「また心にもないことを。お前は妖刀使いも魔法少女も、巨大黒ミミズも信じないだろ?」
「ああ、もちろんだ。噂は聞くけどな」
「死ぬような思いをしても、誰も覚えてないんじゃあ死んだほうがマシだったかも」
「いや、うちのボーイズが覚えている。炎の超能力者だ」
「ああ、キエン。そうか、あいつはボーイズだったっけ。昨夜は大活躍だったよ。あいつがいなければ勝てなかった」
「そうか。その言葉はキエンに言ってやれ。喜ぶぞ」
「お前は超能力者は信じるのか?」
「いや、超能力も信じていない。しかし彼はグループの中で唯一妖刀使いに対抗できる。手品だと思えば、いい戦力だ」
なるほどね。信じてはいないけど、存在していることは認めると。キエンも妖刀使いも。きっと魔法少女が事件に絡んでくれば、その存在を無視はしないだろう。もちろん、俺が知らないだけでさらなるトンデモ超人がこの街にはいるかも知れない。宇宙人とかな。何でもあり、何でも受け入れる。そういう街だからな。退屈しない。
「武勇伝はそのぐらいにしろ。創、連絡したのは他でもない。現実の事件だ」
「事件? 何かあったの?」
「お前が異世界からの侵略者と戦っているうちに、無差別殺傷テロが起きた。ガールズふたりが被害に遭っている。警察も今やその事件に追われっぱなしだ。うちとしても仲間がやられて黙っているわけには行かない。こちらでも既に動いているが、お前はこの街のオーガナイザーなんだろ? 命令だ。犯人を突き止めろ」
「それは報酬が出るのか?」
「もちろん、出来高報酬だ。成果がなければお小遣いはなし。頼んだぞ」
電話はそれで切れた。
無差別殺傷テロなんて大事件ならニュースでやっているだろと思って俺はさっそくテレビをつけた。そのニュース番組はちょうど成哉の言っていた事件を伝えていたところだった。
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