Side勇者①

 言っちゃあなんだが俺は自他ともに認める程顔が良い。性格はある程度真面目だと自分では思っている。趣味は誰にも言ってないけどゲームだな。ゲームって夢があるしな。勿論スポーツも大好きだ。体を動かさないとなまるしな。


 人からはよく熱血漢だとか爽やかだとか話しやすいとか色んな風には言われている。まあ、あんまり悪い事を言われた事はない。


 そんな感じの俺だから女子からはキャッキャッもてはやされて、当然何人もの女子から告白もされた。何かピンと来なかったんだよな。そんな毎日が楽しいと言えば楽しかった。でも一方で何かそんな普通すぎる日常に物足りなさも感じていたんだ。人から言われればそれ以上は贅沢だとかそれ以上は望みすぎだろうとか言われたり、嫉妬されそうだけどな。


 でも…そんな普通の日常が突然終わったんだ。その日はいつも通り学校へ行って、授業を受けて休み時間は友達とバカ話をしていた。四時間目の家庭科の時間を迎えるにあたり、家庭科室で授業があるということで休み時間のうちに家庭科へと移動。チャイムが鳴り先生が来るのを待つだけとなったところで…意識が途絶えたんだ。







 目覚めるっていうのか?意識が戻ったというのか?まあ、どちらでもいいか。とにかく意識がハッキリとしてきて視界に入ってきたのは昔の貴族や鎧兜を身にまとった者達。その手には剣や槍、斧を持っている者達もいる。まるで突然VRゲームの世界や物語の世界に入ってしまったようなそんな感じだ。でもコレが現実だと不思議と分かってしまう。


 クラスメイトはというと目が覚めると同時にパニックになって泣いている者もいる。そんなクラスメイトを傍目に俺は気が昂っていくばかりだ。



『…過去にタイムスリップだけは止めてくれよ?どうせなら異世界とか…特に魔法とかモンスターが存在するゲームのようなそんな世界であってくれよ?』

 


 そんな俺達…と、いうかその場に厳格な男性の声が響いた。



「みなの者落ち着けっ!!」



 その声の方に視線を向けるといかにも王様って感じの凛々しい男性の姿が視界に入る。その男性の横には豪華なドレスを着た王妃って感じの女性とその女性の横に同じくドレスを着用した俺と同じ歳くらいの女性の姿もある。一目惚れって言葉はこういう時に使うんだろうな。俺と同じ歳の女性に一瞬で目も心も奪われてしまったのだから。その女性はこのすぐ後にこの国の第一王女のリリアという事が分かった。



 まあ、そんな事がありながらもこちらの事も説明して、王様達の話に耳を傾ける。すると女神様により召喚されたのではないかという事だった。俺としては召喚でも転移でもなんでもいい。一番大事なのは魔法や魔物が存在しているかという事だった。そしてその思いは叶う事になる。俺はますます胸が躍りだす思いだった。その場で今すぐ飛び跳ねたくなった程だ!


『よっしゃあー!!魔法や魔物が存在する世界だっ!!!俺はそんな世界に来られたんだ!』



 王様の話はそんななかで進んでいき、


「…まずはステータスと念じてみてくれぬか?それでそなた達のジョブやスキルが我々と同じように確認出来る…筈だ。それが分からんとそなた達も答えは出せんだろうからな」


 マッ!?それってマジかっ!?とにかくステータスと念じればいいんだな!?頼む!良いジョブであってくれよ!!


『ステータスっ!!』


 目の前にモニターみたいなものが現れる。恐る恐る確認してみると…




❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶池面 飛駆  (いけづら ひかる)


年齢∶15

職業∶勇者

レベル∶1

体力∶15

魔力∶10

力∶11

俊敏∶11

器用∶10

知力∶5

運∶5


装備∶学生服


パッシブスキル∶剣技Lv 1


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉




「お、俺が勇者っ!?」


 き、きた…っ…きたぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!勇者だ!勇者っ!目の前のモニターみたいなものに何度も何度も目を通す。間違いない。俺は選ばれたんだな…。伝説の勇者に…。勇者といえば魔王だよな?魔物がいるくらいだから魔王も間違いなくいるよな?すぐに近くの兵士の一人に確認してみる。


「ちょっと聞きたいんですが魔王っているんですか?」


「ああ、いるぞ。まあ──」


 よしよしよし!魔王がいる。その魔王を倒した暁には褒章なんか当然もらえるよな?ゲームでも褒章は思いのままっていうのが一般的だよな?そうなればあのお姫様との結婚も…


 そこからの俺の行動は早かった。いつもバカ話をしたりしてツルンでいる友達に声を掛けていく。


賢治けんじ!ジョブはなんだった?」


「俺は戦士だったわ」


 戦士か…。戦士っていうと攻撃力と防御力が高そうだな。戦士をパーティに起用するかは人によって好みが分かれるだろうけど俺は入れる派だ。賢治との仲もいいしな。タカシはどうだろう?


たかし!ジョブは?」


「僧侶…だよ…って、納得いかないわぁ…」


 いいぞいいぞ!僧侶も回復役でパーティには必須だ!必須の筈だ!俺は少なくともそう思う。後は無難に魔法使いか武闘家といった感じだよな!



康太こうたは?」


「槍使いだったけど?」


 槍使い?くっ…槍使いってどうなんだ?戦士と似たり寄ったりな感じだろうか?勇者パーティに誘っていいものか判断に迷ってしまうな。それは顔には出さないようにしたつもりだ。思考を働かせていると口を殆ど聞いた事ない男子がボソリと魔法使いと言ってるのが聞こえた。康太が魔法使いなら良かったんだが…とにかく仲のいいもんで最初はパーティを組んだ方がいいよな。勇者の俺は当然オールラウンダーだろうから俺が気張れば問題ないか。


「賢治、崇、康太…頼むっ!!!勇者の俺とパーティを組んで魔王を倒す旅に一緒に来てくれないか?」


「…えっ?」

「それマジで…言ってるのか?」

「……ちょっと待ってくれ」


 三人とも少し戸惑っているようだ。突然異世界に来て三人はクラスメイトのみんなと同じように不安なのだろう。でも俺はなんとしても魔王を倒さないといけないだ。言葉を俺の思いを熱烈に伝えていく!


「賢治も崇も康太も俺の大事な友達だ。信頼しているし、三人以外は信頼できない!三人以外と俺はパーティを組む気はない!どうか俺とパーティを組んでくれ!立ち塞がる敵は俺が倒してみせるから!」


「でもな…」

「これは…ゲームと違い現実なんだぞ?」

「一歩間違えたら…死ぬんだぞ」



「ステータスを見ただろ!?レベルがあるんだ。レベルが上がれば俺達は強くなれるんだ!いつまでも城にいる訳じゃあないんだろ!?まずは街の周りで俺と一緒にレベル上げをしてみないか!?」


「…そこまで言うなら…分かった。やってみるか…」

「俺は僧侶だから…ちゃんと守ってくれよ?賢治も戦士なんだからちゃんと盾役頼むぞ?」

「盾役は俺なのかよっ!?」

「当たり前だろ!?ゲームでも力と防御高いだろ!?」

「いや…そりゃあ高いけど……まあ、やってみるけども…」

「槍使いがどんな感じか分からないけど、レベルが上がれば強くなれるか…。飛駆となら何でもできそうだな」



「ありがとうな、三人とも。後悔はさせないから!」


 



 勇者として魔王を倒す旅に出る話をして王様から旅立つ為のお金や装備を支給してもらった。流石に姫様の事をくれとかそういうのは言えなかったけど実績を重ねていけばきっと…




 俺の…勇者伝説がここから始まるんだ…。







❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶池面 飛駆  (いけづら ひかる)


年齢∶15

職業∶勇者

レベル∶1

体力∶15

魔力∶10

力∶11

俊敏∶11

器用∶10

知力∶5

運∶5


装備∶鋼の剣 鋼の盾 鋼の胸当て


パッシブスキル∶剣技Lv 1


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉



❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶再現 賢治  (さいげん けんじ)


年齢∶15

職業∶戦士

レベル∶1

体力∶20

魔力∶3

力∶15

俊敏∶7

器用∶7

知力∶5

運∶6


装備∶鋼の剣 鋼の兜 鋼の鎧 鋼の大盾


パッシブスキル∶剣技Lv 1


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉




❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶仲間 崇  (なかま たかし)


年齢∶15

職業∶僧侶

レベル∶1

体力∶10

魔力∶15

力∶8

俊敏∶10

器用∶8

知力∶10

運∶7


装備∶鉄の錫杖 僧侶の服 僧侶の帽子


スキル∶祈り


魔法∶ライト


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉




❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶霜村 康太  (しもむら こうた)


年齢∶15

職業∶槍使い

レベル∶1

体力∶13

魔力∶5

力∶11

俊敏∶11

器用∶10

知力∶9

運∶8


装備∶鋼の槍 鋼の胸当て 鋼の兜


パッシブスキル∶槍技LV1


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉








 



 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る