第47話 謁見
ルクレンド王のもとへ案内された俺たちは、そこでこれまでに起きている異変について話し始める。
「なんと、アルテノアでも同じような事態が……」
こちらが睨んだ通り、ルクレンドも突然の自然災害や魔法を使うモンスターの出現に困惑しているようだった。まさにかつてのアルテノアと同じ状況であり、向こうも喉から手が出るほど関連情報を欲しがっていたのだ。
俺はまずアルテノアで実施している対応策を語る。
これには国王だけでなく、周りにいる騎士や大臣も聞き入っていた。
中でも彼らを震撼させたのはモンスターたちが成長しているという点だった。
特に関心を抱いていたのは召喚獣を使っている点。
「バカな……モンスターが召喚獣を使うなんて……」
「あ、あり得ない!」
「だが、現に我らは何度も魔法を使うモンスターと戦ってきた」
「うむ。召喚獣を使うヤツがいてもおかしくはない」
ルクレンドには魔法兵団もあるようで、そこに所属している魔法使いたちはすでに何度か戦闘を経験しているらしく、中には召喚獣を使ってきてもおかしくはないという意見を持つ者もいた。
自分たちと同じような状況にあることを知ったルクレンドの兵たちからは「アルテノアと手を組むべきでは?」という意見が漏れ聞こえてくる。
これにはルクレンド王も心が揺らいだようだ。
「グラントといったな。兵力を集めているというが、それは対モンスターのために必要だというのか?」
「いえ、私たちが兵力を欲しているのはその上に立つ存在を討伐するために必要なのです」
「その上? まさか、魔法を使うモンスターを使役する者がいるというのか?」
「使役まではいかないようですが、ヤツらに魔力を扱う知能を与えている存在は把握しています」
この発言に騒然となるルクレンド勢。
どうやらそこまでの情報は持ち合わせていなかったようだ。
もちろん、情報の出し惜しみはしない。
俺たちを信用してもらうために――何より、真実を知ればひとつの国だけでは対応しきれないと分かってくれるはずだから。
そんな俺の狙いは見事的中した。
災竜デルガゼルドという禍々しい名とその伝説を耳にしたルクレンド国王は表情が引きつってしまい、周囲の騒々しさもさっきとは比べ物にならないほどだ。
さらにルクレンドの背中を押したのは大国エルダインの存在だった。
まだ確定しているわけではないが、俺の元教え子たちが集まって力を貸してくれることになっている――この情報がダメ押しとなった。
「分かった。ルクレンドはアルテノアとともに災竜デルガゼルド討伐に乗り出す」
「ありがとうございます、陛下」
こうして、ルクレンドとの同盟はほぼ確実となった。
残るはエルダイン組だが……モニカはうまくやってくれただろうか。
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