第46話 ルクレンド王都
エルダインに加えてルクレンドとも協力体制を取るため、俺たちは王都へと入った。
規模はやはり情報の通り、アルテノアよりは大きいが平均的な都市のサイズからいうと小ぶり感が否めない。
それでも中央通りはかなり賑わっている。
海も近いため大きな港町もあるらしい。
「言われてみれば潮の香りがしますね」
「アルテノアは四方を山に囲まれているから、海ってまだ見たことないんだよねぇ。ルネちゃんはあるの?」
ヴァネッサ……ルネを「ちゃん」づけで呼ぶなんて度胸あるな。
あの子は警戒心が強いというか気が強いというか、とにかく隙を見せないタイプだから養成所時代は憧れこそあってもそう軽々しく近づこうとする者はいなかった。
そう思うと、ヴァネッサは養成所にいなかったタイプの子だ。
きっとルネも対応に困っているだろうな。
「私は海へ行ったことあるわよ」
「そうなの? どんな感じ?」
「うーん……分かりやすくたとえるなら、とてつもなく大きな水たまり?」
「それうちのおばあちゃんも言っていたなぁ」
「おばっ!? そ、そう……」
――あれ?
なんかルネ……自然に受け入れている?
「あぁ、ルネ」
「なんでしょうか、教官」
「ヴァネッサと仲良くなったんだな」
「えっ? ――っ!?!?」
どうやら今気づいたみたいだな。
今まで見たことないくらい顔を赤くしている。
あの様子だと、俺がいないところでかなり仲良くなっているようだな、あのふたり。最初からいいコンビだと思っていたが、ここへ来て随分と交流を深めてきたな。
ヴァネッサの剣術とルネの魔法。
下手な騎士が百人がかりでも止めるのは困難だろうな。
おまけにどちらもまだまだ伸び代十分。
これからが楽しみな逸材同士だ。
――っと、話がそれた。
顔を真っ赤にしたルネをはじめ、新進気鋭の若手たちとともに王都中央にある城門へ。
「なんだぁ、おまえたち」
体格の良い門番が明らかに不審者を見る目で俺たちを睨みつけていた。
ただちょっと声をかけただけなのだが……まあ、王の居城を守る門番ならばこれくらいの気概は必要か。ちょっと不愛想だとは思うが。
「我らは決して怪しい者ではない。アルテノア国王陛下の使いだ」
「アルテノア? 国王?」
さすがにその辺の単語が出てきたら反応も変わってくるか。
「本当か? 国王の名を出して嘘でしたでは済まされぬぞ?」
「こちらに陛下から受け取った直筆の紹介状もある。魔紋を照合してもらえれば、誰からの手紙からすぐに分かるはずだ」
「よし。少し待っていろ」
門番は紹介状を受け取ると別の兵士にそれを渡す。
これから城内で魔紋の照合に入るのだろう。
――十分後。
照合が終わり、俺たちは晴れてルクレンド城へ入ることを許された。
さて……この次はルクレンド王への謁見だな。
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