第44話 新しい対策

 俺は国王陛下へ近隣諸国との連携を提案した――が、あまりいい反応とは言えなかった。


「うぅむ……君の言うことはもっともだと思うが、それはかなり厳しいと言わざるを得ないだろうな」

「なぜです?」

「こちらの国の規模から、相手側がまともに話を聞いてくれないという可能性が高い」

「そ、それは……」


 確かに俺もそこは懸念材料だった。

 俺も実際にここへ来るまで、アルテノアって国の名前を聞いたことすらなかったからな。そもそも分かれ道で商人に教えてもらうまで存在すら頭に入っていなかったほどだ。


 そんな大陸でもトップクラスに規模の小さなアルテノアから持ちかけられた話……他の国がまともに取り合ってくれるかどうか微妙なところだ。


 ただ、他の国でも異変は起きているはず。

 エルダインだって魔法を使えるモンスターという異常は把握していた。

 アルテノアとの二国だけでこうした現象が見られるはずではないと思うので、そこをついて協力にこぎつけたい。


 そのためには……エルダインからの協力者がいてくれた方がいい。


「陛下、もしエルダインの魔法使いや騎士たちが協力してくれることになれば、他国の評価も変わってくると思われます」

「それはそうだが、エルダインの者が協力をしてくれるとは――」

「いえ、その点は問題ないかと」


 食い気味にそう告げたのはルネだった。


「モニカ先輩がきっとうまくやってくれますし、あっちには教官の元教え子も大勢います。彼らは教官から正しい志を受け継いでいるはずですので、きっとこちらの協力要請に応えてくれるはずです」


俺と同じくつい最近までエルダインにおり、しかも養成所で次期エース候補の成績を修めていたルネの発言に、国王も思わず頷いた。


「君がそこまで言うのなら期待しても大丈夫そうだな」

「ありがとうございます」


 いつの間にか、ルネもすっかり国王陛下から信頼を置かれる存在になったな。

 魔法使いとしての実力も周りには浸透しているため、アルテノアの騎士たちも陛下とまったく同じで「なるほどぉ」と首を小刻みに上下へ振って納得の表情を浮かべていた。


 さて、話がまとまったところで――俺たちはモニカからの追加情報を待ちつつ、王都周辺の防御をさらに強固なものとするべく警戒へあたることに。


「モニカ……なるべく早くこっちへ来てくれよ」


 すでにさまざまな異変が目に見える形で表れ始めている。

 その被害をおさえつつ、元凶である災竜デルガゼルドを倒すために戦力を整えておかなくちゃな。


 常に万全の状態で戦えること。

 これが何より大事だからな。

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