第42話 エルダインとの同盟(独断)

 モニカを迎えての対デルガゼルド会議。

 ――ただ、対策といっても実際にその災竜を目撃したわけではないので具体的な案を構築していくのは難航した。


 ロウリーさんが持ってきてくれた資料はとても役に立った。

 おかげで今まで知ることのできなかった災竜の生態に関する情報を手にできた。


 さらにモニカからは共同作戦のためにエルダインも魔法兵団や騎士団が力を貸すと言ってくれた。


 自分たちの判断だけで動いた場合、あとで懲罰を食らう――が、そんなことは言っていられないというのがモニカの判断であった。


「先ほどお話しした通り、今のエルダインには正しい志を持って戦う騎士や魔法使いはごくわずかです――が、そのごくわずかな者たちはこれ以上国民が危険な目に遭うのを黙って見ているわけにはいかないと策を練っています」


 そこまで話すと、モニカは少し間をおいてから続ける。


「ですが、私はこのアルテノアに来て驚愕しました。大陸でも屈指の大国と呼ばれる我がエルダインよりも遥かに多くの情報を手にし、さらには対策も万全。国民は国王へ強い信頼感を抱いており、王都へ民を集めるという策にも応じた。――お見事です。私たちエルダインも見習わなくてはいけません」


 大国エルダインに所属する魔法使いからそう称えられて悪い気のしないアルテノアの騎士たち。

 俺もつい最近まであっちで暮らしていたから、モニカの言うことは理解できる。

 今のエルダインに足りないのはそういうところだろうな。


 こうして、強力な助っ人を得ることに成功したのだが……問題はそれをしっかりと生かせるかだ。


 しっかりとした作戦を立てるには情報が必要。

 だが、今の状況からして……災竜の登場は時間の問題。


 全戦力ではないが、エルダインの力も借りられる。

 向こうにも世話になった人たちがいるからな。


 とりあえず、国内の守りはこれまで以上に厳重に。

 それと、モニカには現王国のやり方に反発している騎士や魔法使いを組織してもっと密にアルテノアと連携を取れるようにできないか提案してみたのだが――


「みんな喜んでやると思いますよ」


 と、あっさり言い放つ。


 エルダイン……こりゃ俺が想定しているよりずっと求心力が落ちているようだな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る