第41話 モニカ参戦

 災竜デルガゼルドへの対策会議に急遽エルダインからやってきたモニカを加えることとなった。


 ここで驚いたのはエルダイン側が災竜に関する情報をほとんど――いや、まったく持っていなかったという事実だった。モニカ自身は魔法を使えるモンスターへの対処法という認識で来たようだが、その背後にいる災竜の名を知らなかったのだ。


 会議室へ戻ると、早速そこから情報を整理していく。


「エルダインでは魔法を使うモンスターにどう対処しているんだ?」

「そのことについてなのですが……」


 何やら話しづらそうにしていたモニカだが、彼女の話を聞いているうちにその理由が分かってきた。


 特にアルテノアの人々を驚愕させたのは戦力の大半を大都市に集中させ、辺境地に住む者たちを見捨てるような政策を平然と行っている点であった。


「まさか……あの大国エルダインが民を放置するようなマネを……」


 ザネス騎士団長は信じられないと青ざめた表情を浮かべながら呟く。

 恐らく、他の騎士たちも同じ気持ちだろう。


 それはこの国の民と彼らの関係性を見れば分かる。

 結界魔法を仕掛けに行った際、どの村でも騎士団に対して感謝の言葉を述べていた。


 ……正直、今のエルダインにはそういう関係は希薄だろう。


 だから、ある懸念が浮かびあがる。


「グラント殿……現在のエルダインへ情報提供をしても、すべての民にそれが行き渡る可能性は極めて低いかと」

「ああ……俺もそれが気になっていた」


 こちらの情報が有効活用されるとは思えない。

 とすれば、重要なのはモニカ自身になるな。


「モニカ、これから話す情報だが――」

「当然、すべての国民に行き渡るよう策を練ります」


 間髪入れずにそう答えるモニカ。

 だが、それが実現できるのか……不安になるが、その辺は考えがあるらしい。


「実は最近のエルダインの不甲斐なさに対し、頼りにならないと騎士団は独自に動いて少しでも多くの人を救おうとしています」

「そんなことが……」


 気持ちは分かる。

 さっきの話を聞いても、まともな判断ができているとは言い難い。


 しかし、騎士団の中にそれを危惧している真面目で優秀な者もいる。

 彼らがきっとこちらの情報を有効活用してくれるはずだ。


 ――が、もちろんこちらにもメリットのある提案をするつもりだ。

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