第40話 意外な使者
災竜デルガゼルドの対策会議をしている途中で俺に会うための使者がやってきたと騎士のひとりが教えてくれた。
休憩も兼ねて一度会議は中断。
俺はその使者に会うため城門へと向かったのだが、そこにいたのはあまりにも予想外な人物であった。
「グラント教官!」
「モ、モニカ!?」
エルダインにあるウォルバート養成所で教えていた子で、今は騎士団で活躍しているモニカであった。
これには後輩のルネも驚いていた。
「モ、モニカさん!?」
「久しぶりね、ルネ。――といっても、本当につい最近会ったばかりだけど」
そう語るモニカに、いつもの笑顔は見られない。
クールなルネとは対照的に、モニカはいつも元気で仲間を励ますムードメーカー的な存在だった。
しかし、今は微塵もあの頃の元気さを感じられない。
……まあ、大体察せられる。
「モニカ……君が来た理由は――エルダイン絡みだな?」
「さすがは教官。もうお気づきになりましたか」
「そちらもいろいろと大変だろうからな。それでいてわざわざ魔法使いを割いて派遣してくるくらいだ。大体察しがつくよ」
おまけにそれを元教え子であるモニカに任せるというところにもエルダインの思惑が透けて見えるな。
「モニカ……悪いが、俺はエルダインに戻らない」
「でしょうね。それは承知しています」
「だから――えっ?」
あ、あれ?
違うのか?
「今のエルダインは腐りきっていますからね。もちろんまともな人もいるんですが……あまりにも腹黒い連中ばかりでうんざりしています」
「そ、そうか」
怒りをあらわにするモニカだが……なんだか俺の予想が大きく外れてきた気がする。
「ハッ!? す、すいません! 本題からそれてしまって」
「い、いや、気にしなくていい。それより、君の来訪理由だが――」
「最近この辺りの国々に出現している魔法を使えるモンスターについてです」
「ああ、その件か。ひょっとして、災竜デルガゼルドに関する情報か?」
「へっ? さいりゅう? なんですか、それ」
「……うん?」
ここでもイマイチ噛み合わない会話。
ひょっとして、エルダインはまだ災竜の情報を掴んでいないのか?
となると、防衛対策もアルテノアより進んでいない可能性がある。
「なあ、モニカ。俺たちはこれからその件について話し合おうとしているんだけど、君も参加していかないか?」
「い、いいのですか!?」
「国王陛下には俺から話すよ」
エルダインが掴んでいる情報も気になるし、ここは意見交換といこう。
さあ、これから忙しくなるぞ。
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