第38話 ロウリーからの情報

 人間嫌いのロウリーさんが、人間で溢れかえるアルテノア王都へやってきた。

 ――と、いうことは、いい意味にしろ悪い意味にしろ、相当な理由があるのだろうと推察される。


「ロウリーさん、どうしてここに?」

「俺の住んでいる魔境にも例の自然災害が及んでな。とてもじゃないが住める環境じゃなかったんでこっちへ引っ越してきた」

「えっ!?」


 サラッと凄い情報を持ってきてくれたな。


「魔境にまで影響が……」

「あっちは人も少な――というか、俺以外に暮らしている物好きなんていないから、被害らしい被害は出ちゃいない。ただ、ちょっと気になることがあってな」

「気になること、ですか」

「グラント殿、そちらの方は?」


 そこまで話すと、ザネス騎士団長が割って入る。

 そういえば、ロウリーさんに会いに行った際は俺ひとりだけだったな。ルネやヴァネッサも知らない人が現れたことでちょっと警戒しているようだ。


 俺は一旦みんなを集め、ロウリーさんについて説明。それを聞いたザネス騎士団長はお城の部屋をひとつ使用して話し合う場を設けてくれるという。


 移動後、騎士団や王家の関係者も集まって今後の方針についての会議が開かれた。


「ロウリーさん、先ほどの気になることについて教えてください」

「ああ……しかし、こんなにたくさんの人たちの前で話すのは随分と久しぶりだから少々緊張するな」

「これも何かの縁と思って」

「まあ、それもそうだな」


 ロウリーさんは「コホン」と咳払いを挟んでから説明を始める。


「私がここへ来た理由は――災竜デルガゼルドに関する追加情報を発見したので、それを伝えにきたのです」

「「「「「っ!?」」」」」


 災竜デルガゼルドの追加情報。

 それはまさに俺たちが今喉から手が出るほど欲しがっているものだ。


「い、一体どんな情報なんですか?」

「こいつはいくつかあるんだが……とりあえず記載されていた本はこんなところだ」


 持っていたカバンから三冊の本を取り出し、それを会議室の中心に設えられた机の上に置いていくロウリーさん。


「まずひとつは……現在各地でみられている自然災害――こいつが発生してから一ヵ月以内に世界のどこかで災竜がその姿を見せるという情報です」


 そのとんでもない情報に、会議室は騒然となった。

 一ヵ月以内って……もう少しじゃないか!?


「あ、あとちょっとで災竜が……デルガゼルドの生態については何かありませんでしたか?」


 俺の質問に対し、ロウリーさんは神妙な面持ちのまま頷いた。


「ここからが本題だ。――災竜デルガゼルドについて判明したいくつかの生態に関する情報を教える」

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