第28話
朝だ…。いつものように背中から瑠奈に抱き着いて寝てた感じだけど、今日は握られていない。珍しいので瑠奈が目覚めるまでこうしててもいいかな?いつの間にかこの体勢が一番落ち着くようになっちゃったんだよね。
昨日は綾香達が元々夕飯の用意はしてたみたいなんだけど、僕達が結婚式してる間にリンさんがお城から料理人さんを何人か連れてきて追加で用意してくれててすごい御馳走が並んだ。料理に夢中な男子も何人か居たけど、皆に祝ってもらえて嬉しかったな。
綾香が「次は私達が結婚する」って言い出した時には、他の女子達とちょっとした言い争いになってたね。結局、いつもこんなことしてたら破産しちゃうので月に一回一組だけということに落ち着いて、1番手は綾香が勝ち取ったらしい。よかったね。
その後は…新居で瑠奈と初夜を過ごしました!
瑠奈が痛がっていたのでやめようかと思ったけど「大丈夫、続けて」って言われて最後まで完走しました。感想は、より深く瑠奈と繋がれたような気がします。
「太陽、またしたくなっちゃったの?」
「起きたの?これはいつものだから大丈夫だよ」
瑠奈が僕の太陽を掴みながらお目覚めらしい。
「不思議なんだけど、なんかまだ太陽が中にいるような感じがしてコレ掴むの忘れてた」
「そうなんだね、ずっと忘れててくれてもいいんだよ」
「だめだめ。もう日課だからね、コレがないと目覚めが悪いの」
「そんなことはないと思うけども…」
ないよね?変な日課作らないでよ…。
「今日はゆっくりできるの?」
「うーん、明日街道整備部隊が顔出しに来るって言ってたから、事務所をそれっぽく形にしないとかな」
「そっか。じゃあ起きて朝ごはん作ってくるね」
「僕も起きるよ」
瑠奈が立ち上がる時に一瞬止まったので「大丈夫?」と聞いたんだけど大丈夫だよと返ってきた。そしてシーツをはがして丸めて持って行った。そういえば洗濯機って無いけどどうやって洗濯するのかな…。メイドさん雇ったほうがいい?事務所もあるし掃除と洗濯大変だよね。
「はい、いつものできたよ」
「ありがとう」
日本に居た時から大体朝食は焼いてバターを塗ったパンとベーコンエッグだ。いつもは半熟だったけど、この世界ではちょっと怖いので目玉焼きはしっかり焼いている。それでも美味しいけど、僕は目玉焼きに醤油派なんだ…醤油欲しい…。
「ねぇ、掃除と洗濯してくれる人雇ったほうがいいかな?」
「そうだね…。余裕があったら?会社経費で出る?」
「そこはなんとかしようと思う。正式な経理状況とかまだ引継ぎ受けてないけど、おそらくぼろ儲けだと思うから大丈夫でしょ」
「じゃあお願いしようかな。正直、洗濯機にぽんと入れて終わりじゃないからどうしようと思ってたんだよね。炊事洗濯掃除で一日終わっちゃって太陽の手伝いする暇なくなっちゃうもん」
「それに加えて10人産むんだもんね?」
「そうだよ!ってそうなると益々洗濯する時間がないね」
瑠奈がそう言ってたら、なんかこの世界の女神様だとホントに授かりそう…。
「その時のこともあるしメイドさん雇おう」
「ありがとう」
あれ?メイドさんってどこで雇うんだろ?冒険者ギルドは違うよね…あとでカイトさんに聞こう。
……………………
「いい感じの机と椅子だけはあるね」
「そうだね。あとはお客さんが来た時用の応接セットとかあるといいかな」
「あ、じゃあお茶とかも用意しないとだね。あそこに給湯室みたいのあるね」
「ホントだね。カイトさん準備いいなぁ。ホントに前世高校生だったのかな?」
「アリシアさんに聞いたけど、色んなところでバイトしてお金貯めてたらしいよ」
それは初耳ですね。カイトさんのことだから何か目的があってそうしてたんだと思うけど、高校生のうちからお金貯めてどうする気だったのか気になるね。これもあとでカイトさんに聞いてみよう。
「先ずは買い出しに行かないとだね!お茶を出せるような一式とソファとかあるのかな?それとカーテンも欲しいね!」
「……ソファとなるとちょっと資金が心もとないからカイトさんに相談してからにしようか」
「わかった。じゃあ行こう」
そう言うといつものように僕の手を引いていく瑠奈。この歳で会社経営なんて不安しかないけど、瑠奈が手を引いてくれるから頑張れそうな気がするよ。
……………………
「カイトさんアリシアさん、急に来てすみません」
「いいんだよ。それでどうしたの?」
「経営状況の引継ぎと当面の運営資金を貸して欲しくてきました」
「そうだったね。帳簿があるから持ってこさせるよ。資金は金貨1000枚くらい渡しておこうか」
「そんなに!?」
整備部隊が出向く時はある程度長旅になるので、そのための費用とかも渡してあげるそうだ。よっぽど大金の場合は商業ギルド管轄の口座に振り込むようにするとか。それはカイト工業名義で口座作っておかないとだめじゃないですか?
「そういえば、掃除と洗濯が大変でメイドさん雇いたいんですけど、どこで雇えるんですか?」
「お?何人欲しい?」
「え?いや、うちは一人でいいですけど」
「ふむ。宿舎にも2人くらいいれないか?」
「お給料は誰が払うんですか」
「そりゃもちろん家賃を頂いた中からだろうね。まぁ、所属はうちのままにしておくから半分はうちが出すよ」
詳しく聞くと、男爵家と合併して伯爵家になるにあたって、使用人希望者が殺到してることと、男爵家からもこちらに引き取る人もあって余り気味だそうだ。一般人なら間に合ってるからごめんねで済むけど、貴族の子女ならそうもいかないらしい。
「それに、当番制で大浴場の掃除や洗濯するよりも自由になる時間が作れるからいいんじゃないか」
確かに。あの広い大浴場を掃除するのは大変だね。だけど皆家賃どれくらい払えるんだろう…。
「ん?大丈夫だろ。生産職のものはちょっとやりたいことがあるから俺が雇うし、戦闘職なら魔物狩りついでに薬草取ってくれば結構いい暮らしできるぞ?この町はアリシアのおかげで薬草はどれだけでも売れるからね」
「そういうことなら、それでお願いします」
「了解だ」
明日からでもすぐにうちに1人と宿舎に2人まわしてくれることになった。
「ところでカイトさんって高校時代にバイトしてお金貯めてたそうですけど、何をやらかす気だったんです?」
「やらかすとはなんだよ!……でもまぁそれは…」
あれ?しきりにアリシアさんを気にしてるけど、こんな歯切れの悪いカイトさん珍しいな。
「まぁ今だから言うけど、貯めた資金を元手に暗号資産やデイトレードで一生遊んで暮らせるだけの金はあった」
「嘘…、いつもゲームして遊んでたんじゃないんだ…」
「アリシア…」
「ごめんごめん」
「アリシアが就職するのか大学行くのかわからなかったけど、どこにでも一緒に行っていつでも結婚できるようにお金だけは準備しておいたんだよ」
「え…かーくんたらもう!もうもう!ちゃんと言ってくれればすぐに結婚してあげたのに!」
「それはごめん」
「今世ではちゃんと結婚してくれたから許してあげる」
「「……」」
「瑠奈さんや、帰りましょうかね」
「そうしましょう、太陽さん」
二人で見つめ合って自分たちの世界に入っちゃったので、僕達はそっとお暇したよ。
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