第21話
昨日は怪我人すらなく帝国の巨大駐屯地をほぼ壊滅させたけど、僕らの救出作戦はまだ終わりじゃない。今日は帝城に乗り込んで綾香達の救出だ。生産職の人達は残し、カイトさんと僕達と戦闘職の皆で転移した。
「ここは?」
「私達が最初に召喚された部屋です。やっぱり無人だった」
「なるほど…」
確かにこの部屋は見覚えあるね。すぐ追放されたけど。
「太陽、翔太、7人ほどそれっぽいのがいるがどうだ?」
「7人ですか…。修道院は4人かと思ったけど、どういうことでしょうね」
「ふむ。とりあえずその7人救出して情報集めるか。地面に簡単な地図を書くからそこへ向かえ」
……………………
「この部屋だ」
「よし皆行くぞ!」
僕が気配を探っても一人しかいないので静かに突入する。そしたら女子が三つ指ついて待ち構えていた。
「助けに来たよ。もう離さないから」
「……」
この二人も確か恋人同士だったね。女子の方は想像してた反応と違ったのか驚いた顔しているよ。
「お腹が膨らんで…」
ホントだ…。間に合わなかったのか…。
「――!――!」
何か言いたそうだね。
「太陽、瑠奈外しても大丈夫だろうか?」
「あの子は強かだからたぶん大丈夫」
「よし、じゃあ首輪外すぞ」
カイトさんがそう言うと彼女は首を差し出して首輪を触りやすいようにした。
「ちがうの!できちゃった体でやり過ごすために一杯食べてお腹だけ膨らませたの!」
「え、じゃあホントはできてないの?」
「できてないよ!メイドにバレないように生理誤魔化すの大変だったんだから」
「そっか、うんよかった」
「この城にあと6人いるから皆も助けてあげて!もう2人いたけど修道院に送られちゃった」
「全員助けて皆で帰ろう」
翔太が聞いたお城で3人妊娠したという話しのうち一人は嘘だったんだね。これで数が合うね。
「私、犯されちゃったけど許してくれるの?」
「奴隷にされて抵抗できなかったんだから許すも何もないよ。これからは俺が傍で支えるから」
「ありがとう」
そんな二人の会話を聞きながら部屋の外に出たら、カイトさんが扉に蒼炎をはりつけてた。
「大丈夫。うちらもそうだったけど、帰ったら凄い石鹸があるから綺麗な体に戻れるよ」
確かにあの石鹸は凄いね。1年くらいのことなら無かったことになるかな?
……………………
そして二人目三人目も無事に救出して四人目。この部屋は2人の気配があるね。
「急げ!中の子がピンチだぞ!」
「うおー!」
ピンチって今まさに襲われそうだっていうこと?やばいやばい!魔法で扉吹き飛ばそうと思ったら男子が一人凄い勢いで扉を蹴破って突っ込んでいった。
「このやろう!」
彼はベッドにいる女子に覆いかぶさろうとしている太った男に殴りかかった!太った男はいくらか抵抗したものの、彼の怒りは凄まじくすぐに沈黙した。というかもうピクリとも動かないね…。
彼は血まみれの手をカーテンで拭って女子の元に向かった。
「助けに来ました。どんなことがあってもあなたを大切にします。付き合ってください」
と言って手を差し出して頭を下げた。そうだね、君達は周りから見ても両想いなのバレバレだったけどまだ付き合ってなかったね。
「よく言った!だが返事は保留で次行くぞ!」
「えーそんなぁ」
あれ、カイトさん厳しい?
「ん?女性陣はどう思う?」
「「「保留で!」」」
「ほらな」
「「「首輪外してもらってから改めてやること!」」」
「わかりました…」
あ、首輪してるから返事もできないんだったね。というか戦闘職の女子3人息ぴったりだね。
「綾香がまたいない…まさか修道院に…」
「翔太、たぶん大丈夫!綾香はまだ翔太のこと想っているよ!」
「そうだよ!綾ちゃんを信じなさい!」
告白イベントもあったけど、次に急がないと!移動中後ろから付いてきてるカイトさんが火事だ逃げろーとか叫んでるけど何かしてるのかな?
……………………
そうして五人目六人目も無事に救出して最後の一人となった。このちょっと豪華な扉の部屋に綾香がいるのかな?皇帝の妾だからちょっと豪華な部屋なんだろうね。
「綾香!」
「綾ちゃん!」
翔太と瑠奈が飛び出した!僕も遅れて付いて行く。
「これからは何があっても俺が綾香を守るから!だから結婚しよう!」
今度はプロポーズだ…。
「「「保留で!」」」
戦闘職女子3人組が保留の判決を下した。
「えー、太陽と瑠奈も婚約したのに…」
それを聞いて綾香が目を真ん丸にして瑠奈を見ていた。
「綾ちゃん、ついに太陽から言質とりました!」
言質取られました。でもいいのかな?皆酷い目に合ってるのに僕達だけ狼の子になったくらいでずっと二人で居られたし、カイトさんに会ってからは人並な生活もできていた。追放されたせいだとはいえ、なんか皆に申し訳なくなってくるね。
「あれ?どうしたの太陽?」
「……なんか僕達だけずっと2人で居れたから皆に申し訳なくて…」
「何言ってんだ太陽!お前達が居なかったら俺達は死んでたし、綾香達だって助けられなかった」
「そうだぞ!皆感謝してるんだ!太陽達がカイトさんと仲良くなってなかったら、俺達戦場で燃やされてたんだぞ」
「お前達は幸せになってくれ!俺達もこれからやり直して負けないけどな!」
「皆、ありがとう」
本当に良いクラスメイト達だよ。
「「「瑠奈ちを泣かせたら許さないからね?」」」
戦闘職女子はちょっと怖いな…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます