第18話 Side瑠奈
――Side瑠奈
細工師の子以外は皆泣いていて、話を聞いてもらうのも大変だったけど、なんとかお風呂に連れ出した。
「私のお肌が若返ってモチモチになる石鹸貸してあげるからね!今までのことなんてなかったかのように綺麗になるんだから」
「石鹸あるの…洗いたい」
「豚どもに触られた所キレイになるかな…」
「なるよ!ホントにあの石鹸すごいんだから!」
そんなことを言いながら大浴場に入ったら、石鹸が人数分置いてあってシャワーの間に何かが3つづつ置いてある。あの形状はもしかして?
「やっぱりこれ、シャンプーみたい!」
「じゃあ他はコンディショナーとトリートメント?」
「そうみたい…」
カイトさんありがとう。こんな貴重な物を私たちのために…。
「ホントにこの石鹸すごい!何年か若返ったみたい!」
「ということは?この世界でされたことも無かったことに?」
「なったなった!……ん?まさかここも…」
ちょっと誰にも見せられない状況になっちゃったけど、5個しかないシャワーに2人づつで交代で流しながらずっと洗ってた。私は細工師の子と2人…、なんとなく二人とも経験が無いので皆になんて声を掛けていいのかわからない。二人で無言で頷き合って、一足先に湯船に向かう。
「あ…なんか処女に戻った気がする」
「ん…そうだね、そうに決まってる」
うん、恥ずかしくて見ていられないけど、皆前向きになってきた気がする。
「あの石鹸は神の石鹸なのかな」
「ホントにすごい石鹸だね」
カイトさんの奥さんって何者なんだろう…。
「瑠奈ちゃん、これって全部カイトさんがやってくれたんだよね?」
「うん、そうだよ」
「奴隷からも解放してくれたしこれからどうしたらカイトさんに恩返しできるかな?」
「カイトさんならたぶん、これからやり直して元気に生きてくれたらいいって言うんじゃないかな」
「そうなんだね」
「カイトさんはリーネフ国っていうところのお貴族様で、私と太陽は皆を助け終わったらカイトさんのところで働いて恩返しするつもりだよ」
「私もそうしたいけど、細工師なんて役に立つかな…」
そんなことを話してたらいつの間にか集まって来て話を聞いていた皆も私もカイトさんのところで働きたいって言い出した。
「それはいいんだけど…そこ2人目つきが怪しいけど大丈夫?カイトさん幼馴染の奥さんいるよ?」
「えーそうなの?年下っぽいからまだだと思ったのに」
「貴族なら側室とか」
「ダメダメ!まだ会ったことないけど、カイトさんの表情からするとベタ惚れなんだから」
「そういう感じなんだ…」
たぶんね。言えないけど、前世からの幼馴染だからね。
「解放してもらった時、一瞬で恋に落ちたけど1日ももたずに破れちゃった」
「すっごいイケメンだったもんね!わかるわかる」
「ダメだからね?ちゃんと諦めてね?カイトさんの奥さんは石鹸の発明者だからね?」
「え、うそ、じゃあ私達の女神様じゃん」
「……もしかしてシャンプーも?」
「カイトさんがこれだけ持ってるってことはそうだとおもう」
「神…」
「そうだ、リップも作ったんだよ、ツヤツヤプルルンになるやつ」
「なにそれ欲しい!」
「これはカイトさんの所で暮らすのが1番良さそう」
「そうかもね。私も太陽と…あ!太陽と正式に婚約したんだ」
「え…もしかして瑠奈ちゃんももう…」
「あ、太陽が皆んなを助け出すまでは我慢するって言ってダブルベッドで一緒に寝ても何もしてこないんだから」
なんて事を言わせるのよ。恥ずかしいじゃない。
「よーし、瑠奈ちのためにも早く豚どもぶっ殺して皆んなを助け出そう!」
「そうだね、皆を助け出すまでは私達も落ち込んでばかりではいられないね!」
「皆ありがとう!頑張ろうね」
その後も色々な話をした。帝城にも行くけど、その前に駐屯地に行って豚どもに復讐したいって言ってた。
「私多分転移魔法使えるから皆んなで転移して一気に叩こう」
「それはいいね!」
そんな感じで盛り上がってお風呂から上がったら、脱衣所に新しい下着や服がいっぱいあった。カイトさんホントに用意してくれたんだ…。
「奴らに貰った服なんて着たくなかったからよかった」
「うん、全部燃やしちゃおう」
戦闘職の子達は過激だね。あれ?私も仲間なの?
……………………
「ふわぁ、3階建てになってる」
驚いた、もしかしてカイトさん個室作ってくれたの?
「階段あるけど3階にしか行けないみたいだね」
男子と顔合わせなくて済むように配慮してくれたんだね。どこまで気が効くの?
「私こっちの窓がないほうがいいな」
「私も…覗かれなくて済むのがいい」
窓ありと無しがあったんだけど、窓なしの方が人気だった。寝る時も大変だったんだね…。今日はゆっくり寝てね。
「ちょっとカイトさんにお礼言ってくるから皆んなは休んでてね」
1階に降りてみたらカイトさんが居た。見たことろキッチンを作ってるっぽい。
「これでよしと。何日ここにいるかわからないけど、これならなんとかなるだろう」
「カイトさん…」
「お、瑠奈。女子達は大丈夫か?」
「少し落ち着いてきました。それよりもこんなにしてもらって、私カイトさんになんてお礼を言ったらいいのかわからない」
「いいんだよ。同郷のよしみ…だろ」
「ホントにカイトさんに会えてよかった。もしかしたら女神様が引き合わせてくれたのかな」
「ああ、あの女神様は幼馴染推しで優しいからな」
「カイトさん会ったことあるんですか?」
「転生する時に会ったぞ」
「ホントにいるんですね…。色んな謎が解けた気がします」
「あの女神様なら祈ってたら大抵の願い事は聞いてくれると思う」
「そうなんですね。女子達皆に女神様が見守ってくれてるよって伝えてきます」
「うん、少しでもやり直す糧になるならなんでも利用したらいいさ」
「カイトさんありがとう!」
女神様いるんだ!だからなんだ、くじけなかった子は妊娠しなかったの。じゃあ綾ちゃんもきっと大丈夫!
大丈夫だよね…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます