第17話
「さて、隷属の首輪だったか、翔太だったなちょっと触るぞ」
皆を建物の中に入れて早速カイトさんが首輪を調査しだした。どうするんだろう?
「首輪が消えた?」
「翔太どう?」
「あ…太陽!瑠奈!喋れる!」
「うん、よかったね」
「カイトさんでしたっけ、皆もお願いします!あと、女子は違う部屋でやってあげてください。瑠奈」
「どしたの?」
「(女子達は毎晩兵士達に酷い目にあわされてたんだ。だからケアを頼む)」
「……わかった」
やっぱりそうなんだね…。そうなると女子の残り10人もできるだけ早く助けてあげたいな…。
「男子は終わったぞー」
「女子は皆あっちの部屋に行こう!カイトさんも来て!太陽は男子をよろしく」
よろしくされたけど、どうしよう。と思ってたら翔太が立ち上がった。
「俺は、綾香がどんな目にあわされていようとも、帝国から助け出してこれからの人生全てを賭けて支えていく!」
翔太…。僕も応援するよ。
「俺もだ!」
俺も俺もと続々と声が上がった。翔太以外にも付き合ってる人達は皆まだ女子が見つかっていない。恋する乙女は綺麗だそうだから狙われたんだろうか…。
「だから太陽!帝城に行こう!そこに綾香達がいるんだ!」
やっぱりか。綾香が皇帝の妾にって噂本当なのかな。
「あと戦闘職の女子が一人妊娠して修道院に送られた」
「そうなんだ…、皆遅くなってごめん!首輪の解除方法見つけられなかったんだ」
「いいんだ太陽。こうして来てくれたし、太陽がいなかったら俺達皆金髪の悪魔に燃やされてたんだろ?」
「たぶんそうなったと思う。カイトさん、今回の戦でも黒ずくめに父と兄を殺されて怒ってたから」
「黒ずくめ…あいつ」
「翔太?まさか…」
「ああ、シノビモドキのあいつだよ。あいつと他に2人の魔術師は奴隷になってない。ただ、絶対に帝国を裏切らない契約をしてるらしいけども」
「なるほどね。あ、カイトさん何人か行方がわかりました」
カイトさんが戻って来たので、さっき翔太達と話してたことを説明した。そして黒ずくめのことも。
「そうか。じゃあ仇として許すわけにはいかんな」
「自分の意思でやったのならしょうがないですね」
だってカイトさんのお父さんでもあるけど、現職の辺境伯を殺したんだからね、例えカイトさんが許しても家臣や領民が許さないよ。あと王太子もデインおじ様の敵討ちって気合入ってたし。
「ちょっと風呂作ってくるから太陽は皆の話をしっかり聞いてやってくれ」
「わかりました」
それから皆で今後のことについて話し合った。帝城には必ず助けに行くけど、僕達だけじゃ力不足だ。カイトさんの力を借りれればなんとかなりそうだから、皆にカイトさんの素晴らしさを説いた。
「そうなんだ。俺達には金髪の悪魔の噂しかないから恐ろしい人だと思ってたけど」
「戦場で向かってきた時すごい威圧感で動けなくなったよな」
「魔物と初めて遭遇した時もあそこまで怖くなかったよな」
「ちなみにその噂って?」
「なんでも逃げる農民兵をずっとどこからか追いかけてきて国境の関所も燃やした悪魔のような奴だって」
ごめんカイトさん。金髪の悪魔広まったの僕達のせいかも…。
『太陽、瑠奈黙って聞いてくれ。入って来た入り口のほうから出たところに男子の浴場。新たに作った裏口から出たら女子の浴場がある。今から服を調達してくるから1時間は上がらせないで入れておいてくれ。よろしく頼む』
お風呂作ってくれただけじゃなく、服まで調達しに行ってくれるなんて、カイトさんどこまでいい人なんだろう。どうやったらカイトさんに恩を返せるのかもうわからないよ。
「皆、カイトさんがお風呂作ってくれたからあとはそっちで話そう」
「風呂だって!?風呂に入れるのか…」
「そうだよ。綺麗にしていかないと綾香に臭いって言われるよ」
「そうだな……そんなに臭い?」
「うん」
そうしてお風呂に移動したんだけど、ちょっとした温泉の大浴場並みに豪華だった。シャワーは5個しかないから順番待ちかなと思ったけど、石鹸やシャンプーがあって皆興奮してしまって一つのシャワーに3人くらいで洗う人流す人でわいわいやってた。僕もこの間経験したけど、一度くらいじゃ石鹸の泡が途中でなくなるんだよね、だから皆3回くらいづつ頭も体も洗ってた。湯船は少し熱かったので僕の魔法で水を出して薄めた。熱いのが好きな人は奥の蒼炎の近くに行って「うぁ~きもちええ~」てやってたね。
「皆、ここまでしてくれるカイトさんに感謝してね」
「もちろんだ。絶対忘れない!」
「誰だ悪魔なんて言ったの!俺達の救いの神じゃないか!」
ごめんそれ僕かもです。カイトさんホントにごめん。
「そういえば翔太、綾香のことで宿の食堂で噂を耳にしたんだけど落ち着いて聞いてくれるかな」
「……覚悟はしてる。言ってくれ」
「綾香が皇帝の妾になったって噂があったんだ」
「……そうか、やっぱりな」
「翔太…」
思いっきり苦しそうな顔をしているけど、なんかある程度は予想してたみたいだ。
「体の自由は奪われても心は奪われてないって信じてる」
「そうだよ。綾香ならきっと今も翔太のことを心配してるよ。僕と瑠奈もサポートするからね!」
「ありがとう。絶対にやりなおして結婚してみせる!太陽達に負けてられないもんな!」
その意気だよ翔太。皇帝には僕達の手で報いを受けさせてやろう!
そしてお風呂から上がったら、脱衣所に新しい服と下着が山盛りに置いてあったよ。カイトさんありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます