第5話
「これが世界樹か、すごいな。」
「本当にすごいですね。ここからじゃもう枝が広がってて上が見えませんね。」
「世界樹に傷つけたりしたらダメですからね、気を付けてくださいよ。」
あれ?カイトさんは背中に張り付いてる幼女はスルーでいくのかな?
「ところで太陽、クラスメイトって何人いたの?」
「え?……全部で40人でした。」
「そうなんだ。その中で友達とか気になる人はいる?」
「保育園から小・中・高と一緒で仲良かったのが2人います。」
「そっか。帝国でどういう扱い受けてるかわからないけど、異世界あるあるの隷属化パターンだったら最悪だね。うちの国は禁止してるけど、帝国は奴隷がいるらしいからね。」
「……」
「最悪のパターンでも、信じて支えてあげるんだよ。この世界で放り出されたらどうなるかわかるよね。」
「それはもちろんですけど、どうしたらいいですかね…。」
「うーん、ここにきて帝国が強気で攻めてきたのは召喚が成功したからでしょ。ということはいずれ戦場に出してくると思うから、見つけたら拉致して監禁しよう。」
「そうですね。このまま帝国においとくわけにはいきませんからね。」
「頭ガジガジと嚙みつかれてヨダレまみれになってるのに全く動揺しないで会話してるカイトってすごいね。ランカスターって皆そうなの?」
ホントにカイトさんすごいですね!僕のほうがチラチラと見ちゃってました。
「妾をここまで無視したヤツは初めてなのじゃ!こうなったら首に噛みついてやるのじゃ!」
「そこはダメ!」
「あちち!あつい!?」
「お、やっと離れた。」
「なんじゃその炎は!?妾に火傷させるじゃと?」
今のは蒼炎?あんなのも出せるんだ!僕も後で練習してみよう。
……………………
その後ハイエルフの自称姫様と会ったんだけど、この世のものとは思えないほどの美人だった。
カイトさんのランカスター家のルーツとか話してたけど、僕らにはあまり関係ないかな?それよりも隷属化のほうが気になってしょうがない。翔太と綾香は無事だろうか…。僕と瑠奈と入れて幼馴染4人組。あの二人は中三の終わり頃に付き合いだしたんだよね。ずっと気心知れた仲良しカップルだったし、酷いことになってなければいいけど。
「さぁ行くよ!まずはこっちだよ」
姫様の所を辞した後、里を見て回りたいと言ったらララノアさんが案内してくれることになった。ありがとう。
「次はあっちだよー!」
ありがたいけどララノアさんせっかちなのかな?全然待ってくれないんだよね。ゆっくり見ることもできない。
「よしよしいい感じだね。次はあそこに寄って調理器具を持っていこう」
うん?調理器具?
「さぁここが憩いの広場だよ!早速カレーライス作ろう!」
ハメられた!そういえばなんか行く先々で材料を入手してた。あれカレーの材料だったのか…。
「じゃあやりますか!我が家伝統のカレーライスを見せてあげるわ!」
瑠奈もノリノリだった。でも瑠奈のうちのカレー美味しいよね!
「やったー!ルナちゃん味見は任せて!」
「うん、わかった!」
ララノアさんが味見してどうするんだろ…。
「こんな所でカレーライス作ってたんだね。散策してると思ってたよ」
「カイトさん。そのつもりだったんですけどね。ララノアさんが案内してくれた場所は全部料理の材料を入手する場所で、あとは作りましょう!と半ば無理矢理…。カイトさんも一緒にどうですか?」
「じゃあ頂こうかな」
「あれ…久しぶりだからめちゃくちゃ喜ぶと思ってたのに…」
「フフフ、我が町にはとてもよくできた素晴らしく可愛い幼馴染が居てね、食べれるのだよ」
「それって…その幼馴染さんも?」
「そういうことだね。こっちでは婚約もできたんだ」
「うそ…。カイトさん!その幼馴染さん紹介してください!」
「急にどうしたの瑠奈さん」
「えっと(太陽も幼馴染なんだけどあんなだから攻略方法がないか相談を…)」
「ふむ(わかった、いつか場をセッティングしよう。今はちょっと誤解があって避けられてるんだけど…)」
「あれ?二人で何こそこそしてるの?」
えっととふむしか聞こえなかったけど…。
「太陽と瑠奈も大切な幼馴染なんだよって聞いてただけさ」
「そうなんです。まさかカイトさんもだったなんて、しかも前世からとかすごいです」
「そういうことなんだけど、一応よそでは秘密にしておいてね。上位の権力に目を付けられると面倒だから。この国の初代国王も転生者っぽいから特に気を付けてね」
「わかりました」
初代国王様がそうだということは帝国なんかよりずっと住みやすそう。本当にカイトさんに出会えてよかったと思う。このままカイトさんの元に身を寄せるのが一番なんだろうけど、翔太と綾香のこともあるしクラスメイトがどうしてるのか様子だけでも見に行かないとだよね。もしも酷い扱い受けてるなら助けてあげないと…。
「カレーライスできたよー!盛り付けくらいはできるんだから!」
「本当にカレーライスだ…瑠奈」
「太陽…」
「「いただきます」」
「「――!」」
「お、おい、大丈夫か?」
「久しぶりのまともな食事がこんなに身に染みるなんて…」
「ちょっとルナちゃんまで泣かなくても」
「だって、フェンリル様が獲って来てくれたイノシシから塩胡椒もなく肉を削り取って焼くだけだったんだもん」
「フェンリル様ならそうだろうね…むしろ生肉派じゃないかな」
「よし!じゃあ二人とも沢山食べて?今日は私のおごりだから!」
「ララノアさんありがとう」
この日食べたカレーを僕たちは一生忘れない。
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