第3話

 あれからなんとかイノシシの肉を焼いて食べた。美味しいものではなかったけど、食べないと生きていけない。血抜き?しないとダメなんだっけ?もっとそういうの勉強しておけばよかった。


『魔法をもっと自在に使えるように練習しろ。慣れたら魔物が出る場所に連れて行ってやる』

「わかりました」


 魔物が出る場所に連れて行くって言った?


『お主らはアニメとやらを参考にすれば簡単だと聞いたぞ』

「え?フェンリル様アニメ知ってるんですか?」

『うむ。前に来た勇者が言っておった。』


 勇者?僕らみたいに召喚された人ってことかな?それにしてもアニメか…なるほどね。


「その勇者さんも帝国から来たんですか?」

『ああいう者達はこの森の近くで生まれるんだ』


 生まれる?転移じゃなくて転生ってこと?じゃあ本物の勇者なのかな?そして帝国はこの森の近くではなさそう。


『む。魔物が来たな、倒しにいくぞ』

「は、はい」


 いきなりですね…。どんな魔物がってあれはゴブリン?


『見ていろ、ああいうのはこうだ』


 ずっと見ていたけど何も見えなかった。ただ、ゴブリンの首が飛んだ。


『わかったか?』

「何も見えませんでした」

『ばかもの。風の刃が見えるわけなかろう。魔力を感じ取れ』

「風の刃…」


 なるほど。よくあるやつだね。


「こうですか!」


 もう一匹に狙って風の刃を意識して飛ばしてみる。腕に当たってゲギャ!って言いながらこっち向かってきた!どうしよう?


「は!」


 あ、瑠奈が蹴り飛ばした。そしたら樹に当たって動かなくなった。瑠奈さん強いね?


『ふむ。ちゃんと当てれるように練習したほうがいいようだな。ここでやっておけ、強い魔物が出たら来る』

「わかりました」


……………………


 いっぱい練習した!もう魔力がないみたいだけど、結構思った所に飛ばせるようになったかな。瑠奈もできてたね。だけど、威力が弱かった。どうしてかな?


「暗くなってきたしフェンリル様の所に戻ろうか」

「そうだね!っていうかまたあのイノシシ食べるのかな…」


 なんか食べれる木の実でも探す?全く知識が無い僕らには無理だよね…。


……………………


 肉は慣れるしか無いんだよね。生きる為に無心で食べよう。米が欲しいなぁ。


「せめて塩胡椒が欲しいね」

「そうだね…」

『……もう少ししたらニンゲンがくるからそいつに譲って貰えばいい』

「その人はいつ頃来るんですか?」

『そろそろ攫って来るはずなんだがな』


 ん?誘拐されてくるの?それってどういう…


『我が見張ってやるから安心して寝るがいい』

「ありがとうございます」


 地べたがこんなにゴツゴツしてるなんて、ベッドって偉大だったんだなぁ。こういうのも慣れるしかないのかな…。瑠奈は…もうスヤスヤ寝てるね?寝冷えするといけないから僕のジャケットかけてあげるよ。


……………………


 気づいたら瑠奈が僕に抱きついてた。そしてモフモフで暖かい。どうやらフェンリル様に包まれてるみたい。


「フェンリル様ありがとうございます」

『うむ。起きたか』

「はい」

『またイノシシ捕まえてきてやろう。ちょうど近くにきておる』


 消えた。え?この世界の狼って目で追えない程早く動くの?


『よし食え』

「あ、ありがとうございます」


 どうしよう、また生きてるよ。どうやって〆ればいいんだろ…。


『うん?そうか……これでどうだ?』


 フェンリル様が風の刃かな?で首を落としてくれたよ!そうだ吊るして血抜きしよう…吊るす物が無かった。魔法で皮剥げないかな?


……………………


「瑠奈、なんか魔法だけで戦うの厳しいね?」

「そうだね。魔法使いまくれるわけじゃないんだね」

『ふむ。魔力が足りないなら爪と牙で戦えばよかろう』

「「……」」

『ちょうど熊の魔物がいるからやってみろ』

「やるしかないね、瑠奈!」

「2人ならなんとかなるよ、頑張ろう?」

「風の刃が効かない!」

『もっと魔力込めろ』


 あ、そうか!魔力を込める込める!どうだ?


「効いてるよ!私も!」


 瑠奈が同じ場所を狙って更に傷を深くした。ってヤバい!瑠奈に向かって走り出した!


「これでもくらえ!」


 ありったけの魔力を込めて放ったら首が半分くらい切れた。そして熊は動かなくなった。


「なんとか勝てたけど…」

「2人でも厳しいね」

「一体倒しただけで魔力無くなるなら厳しいね」

『お主ら爪と牙はどうした?』

「「フェンリル様…」」

『グッと気合い入れればニョキっと伸びるだろ』


 試しに踏ん張ってみたけど何も起こらなかったし、あんな熊に僕らの爪と牙なんてききませんよ…。


「とりあえず2人で連携して魔法当てていくように工夫していこう!」

「そうだね!あと太陽も逃げれるようにいつも身体強化しよう」

「うん、頑張る!」

「よーし、練習だー!」


 2人で合わせて戦えるように練習した。魔法は強く早く正確に打てるように、体術は…まぁおいといて、逃げ足は速くなった。ただ、身体強化のほうは瑠奈のほうが出力が高いのかな?逆に攻撃魔法のほうは僕の方が強い。得手不得手みないなものかな?でもこれで少しは戦えるようになったかな?


 そうしてたくさん練習した後フェンリル様の元に戻ると何日かぶりに見る人間がいたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る