第2話 帝国サイド
――Sideローブの男
「最初に連れ出した男はどうした?」
「はい、例の首輪嵌めて鉱山送りにしました」
「よくやった」
こういうのは最初にしっかりと脅しておけば後が楽になるからな。逆らうと殺される、役立たずは追放される、としっかりと奴らの脳裏に刻み込めただろう。あとは説明会と称してグループ毎に別けて部屋に押し込んでから隷属の首輪つければいいだろう。後は珍しい異世界人を抱きたいという奴は多いからな、たっぷりと稼がせてもらおう。
「しかし勇者がいないのは残念だったな」
「必ず授かるというわけではございませんので」
「まぁいい、あいつらに俺達の子を産ませるか」
「陛下?よろしいので?」
「ああ、強ければ役に立つだろうし、弱くても異世界人の血を引いてれば何かの役に立つだろう」
「皇后陛下や皇子にはなんと?」
「異世界人との友好のために妾にしたとでも言っておけばいいだろう」
「承知致しました」
「お前らも一人選べ。誰が先に孕ませるか勝負だぞ」
ここには俺と陛下の他に5人の側近が集まっている。陛下の言葉を聞いたとたん全員がニヤリと口元を歪めた。
「そういうことなら例え陛下でも負けられませんな」
ちっ!この人数で一人づつ選んで戦闘職も除くとしたら残りは2~3人じゃないか。たんまり稼がせてもらってこの国からおさらばしようと思ってたのにな。どうやらリーネフ国の辺境にバケモノがいるようだから、辺境は突破できない。次は西の王国に潜り込んで…。
「しかし、あの魔法使いの女は惜しかったですな。いい尻してたのに」
「まぁ魔法使いは首輪外す魔法思いついたりするし飼うのはやっかいだぞ」
「そうですな」
……………………
――Side翔太
俺達幼馴染4人組の中の2人、太陽と瑠奈が追放されてしまった。無事なのか心配な反面、ここに居るよりいいのではないかという予感がしている。本当におかしい、ちょっと口答えしただけで殺されるし役立たずは追放だって?勝手に呼び出しておいて酷い話しだろ。どうやら魔術師の職が尊重されるらしく、他の職の者への対応は冷たい。
「翔太、私お城の厨房で働くことになったよ」
「そうなんだね、厨房なら安全そうだし良かったかもしれないね」
俺に話しかけてきたのは幼馴染4人組の最後の1人綾香。俺とは中3の頃から付き合っている。料理人の職を授かったのでお城で働けるそうだ。良かった…のかな?
「翔太は剣士?戦いに行くんだよね…心配だよ」
「大丈夫、綾香の為なら頑張れるさ!この世界ならもう我慢しなくても良さそうだし、お金稼いで家を借りて結婚しよう!できれば違う国で」
「翔太……うん、2人で頑張ろう!私もお給金出るらしいから貯めておくね!」
「綾香……」
初めてのキスをした。なんとなく幼馴染の延長で付き合ってそういう雰囲気にならなかったけど、今は綾香を守りたいと強く思う。
「あ!いた!綾香、女子は全員集まってだって!早く行かないとやばいよ」
「わかった!……じゃあね、翔太!また後でね」
行ってしまった…。もう少しゆっくりしたかったな。
「……ラブラブでござるな」
「うわぁ!ビックリさせるなよ。っていつから居た?」
「ふむ。お城の厨房で働くことになったよからかな」
「最初からじゃねぇか!」
「安心するでござる。拙者は忍び故言いふらしたりしないでござるよ」
そう言って手のひらを上に向けて差し出してくるシノビモドキ。なんだその手は?
「翔太は確か万年筆をいつも持ち歩いてたと記憶してるでござる」
おい!高校入学の時にじいちゃんに貰った万年筆だぞ?
「この国から逃――」
「――わかった!ほら、これやるから黙っててくれ」
「フフフ、良い取引ができたでござるな。では御免」
ドロンと消えた。え?アイツ本当に忍者になったの?闇の魔術師とか言われてた気がしたけど、今の魔術なの?俺も魔術師がよかったな…。
……………………
部屋に戻ろうとしたら戦闘職男子は集合って声が聞こえて来たので急いでそちらに向かう。
「よし、集まったな。お前達には明日から魔の森近くの町へ移動してもらうことになる。そこで騎士と訓練したり魔物討伐したりして戦えるようにしてもらう。よいな?」
「「はい」」
いきなり綾香と離れ離れか…、大丈夫かな…。
「よし!じゃあ今から装備を渡す。受け取ったら全部しっかりと装備しろ」
「魔術師は別室に移動する。付いて来い」
魔術師だけやっぱり特別待遇なのか?3人だけ出て行った。貰った装備はブロードソードのような剣と革の胸当て、革のブーツに革の手甲みたいなやつ、そして首輪だ。なんだこの首輪?これ必要なの?
「貰ったら早くつけろよ。あと、喋るな」
くっ、騎士が槍の石突で床を叩いている。考える暇も与えてくれないんだな…、しょうがない着けるか。
「よし、全員着けたな。これからは会話を一切禁じる。帝国の人間に逆らうことも禁止だ。あとはこの5人の騎士の指示に従え。あとは任せたぞ」
「お任せください」
そうして偉そうに喋ってた奴は退室していった。入れ替わりでメイドが入って来てパンと水を置いて出て行った。
「これがお前達の食事だ。パンを1つ食べたら水を一杯飲んで部屋に帰って寝ろ」
呆然としながらパンを食べて帰ろうとしたら動けなくなった。なんだこれは?
「ん?そうかお前、水を飲むのを忘れているぞ。お前達はもう奴隷だ。指示されたことには逆らえないからしっかりと聞いて全て遂行するように」
嘘だろ…。なんだよ奴隷って!綾香と結婚は…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます