第30話

「…うん、わかった。じゃあ、止めない」


「…悪いな、三貴」


納得してくれたと思ってほっと息を吐く紅華ちゃんに、俺は言葉を続ける。



「…俺らも連れてってくれない?」


「…は?」


「ちょ、三貴さん?今貴方は堅気の人間です。コチラに巻き込むわけにはいかないんですが…」



渋る紅華ちゃんと、止めに入ってくる紫保ちゃん。



「知ってる。だから〝俺ら〟だってば」


「…俺ら?…まさか」


「そうそう」




先代華狼の仲間、拓巳や奏、慧に声を掛ける。


特に紫咲 拓巳(しざき たくみ)は、扇木に並ぶ紫咲組の子供でもあるから、いてくれた方が心強い。

ああ、紫咲組は今拓巳のお兄さんが後を継いでるから組長ではないけどね。


奏や慧は、まあ無理には誘わない。あわよくば、とは思うけど今は自分の家庭や生活があるからな。

……でも、紅華ちゃんの為なら集まってくれると信じてる。


​───────この子は、『碧葉』の大事な子だから。




「力にならせてよ、紅華ちゃん」



朝比奈組が関わってると分かった事で寝れてないんだろう、目の下のクマが悪化してる。チカラになってあげたいんだよ。




独りで抱え込まないで、紅華ちゃん。

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