第25話

2人が泣くのに対して俺が慌ててるのを笑いながら見てるのは頬にガーゼを付けた翔。そして、その隣には目を赤く腫らした未來が寄り添っている。



「……大丈夫なのか、翔」


「あー、うん。心配掛けて悪かったな。

…説明、した方がいいよな?」


「頼む」




それから聞いた翔の話だと────



 未來を送って帰る途中でコンビニに向かい、そこから家まで大して距離もないからと歩いたそうだ。


そこで、明らかに薬を決めてるようなキチガイな事を言う……意思の疎通が難しい男達に未來を人質にされ、しばらく成すすべも無く殴られてたらしい。


 未來の首元にナイフが当てられており動けなかった、と。


 だが、そんな未來が思い切って、捕まってる男の急所を蹴り上げたのだそうで。それからスグ男が怯んだ隙に未來は逃げ出し、そのタイミングで翔は反撃したそうだ。


 相手はたったの3人だったが、そいつらは皆一撃一撃が重く実力的にも少し苦戦したそうだ。幾つか拳を食らったと苦々しい表情で語っている。


…だが、そいつらが言うには、自分たちみたいなのはゴロゴロいるらしく、火蛇の中では下っ端の奴らしい。



「そんで、男達撃退して未來連れて近くの表通りに出て…そこを帰りの一黄と合流したんだ。ほら、人通り多い方が相手も動き辛いだろ?……あと、そうだな。耳元に蛇のピアス付けてやがった」


「成程な。…だとしたら相手は、確実に…」



────火蛇



「また、火蛇…?もう嫌だよ…っ!皆、血まみれになって、怪我して…」


 未來の震えた声が響く。その言葉は皆の心の声の様で、息苦しい空気が流れる。




「…珠優、無事で良かった」


「こっちのセリフだ」


 珠優は、翔の言葉に苦笑いで答える

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