第24話

「お、そろそろ夕方か?」


 俺の入院してる部屋さ個室な為、音を気にせずテレビを流している三貴。彼は、そういえばと言いつつ時計を見やる。


「ああ、そろそろ夕方だね」


「あ?ああ。……って、翔の方はどうなった?未來もいたみたいだが…」


「ああ。あの時は大変だったみたいだけど、今は落ち着いてるし大丈夫だよ。まあそろそろ来ると思うから、本人から聞いてあげて」


「…ん、そうだな。今から寝るから来たら教えてくれ」


 布団に横になって目を瞑るが、まるでタイミングを見ていたかのように勢いよくドアが開く。



「…だ、」


 大きな音を立てた人物に誰だと言おうとして、その言葉は音になる前に消えた。



ぼふっ!!!


「珠優ーーーーっ!!」


「生きてる?…あっ、足ある!?」



 元気な双子、一黄と桃里(とうり)に勢いよく抱き着かれたからだ。…重い。

 ううううっ!と泣いてる一黄に対し、半泣きで俺に引っ付いてる桃里を見て、不謹慎だが…心配掛けたのだと笑みがこぼれる。



「すまない。一黄、桃里」


「珠優の馬鹿ーー!!し、死んじゃったかと…っ、うぁぁあんっ!」


「し、珠優、あのね、あの、…よかった…!」


 グズグズと泣きながら頑なに俺から離れない2人に、嬉しい気持ちもあるがまず焦る。

 いつも明るい一黄とぽけっとしてる桃里。2人が感情を表に出すのは嬉しいが、どう接したら良いのか分からなくなり、結果…焦る。



「……悪かった。とりあえず泣き止んでくれ」


わしゃわしゃと頭を撫でれば、なぜか悪化した。



「ははっ、逆効果だな。……にしても珍しいなぁ。お前が沈むなんて」

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