第20話

────珠優side


 ズキズキと痛む体に意識が浮上していく。ゆるゆると目を覚ましたら、そこは白い部屋で独特な薬品の匂い。おそらく病院だ。


 キョロキョロと辺りを見回して、脳を動かして現状把握をする。一黄から翔がやられたって電話が来て…そのあとは…


 ガバッ!



「ちょ、珠優っ?…大丈夫だ、落ち着いて」


 飛び起きて頭痛に悶える俺に、三貴が心配した声を投げ掛けてくる。

 …どうして三貴が?…ああ、保護者だから呼ばれたのか…?


「取り敢えず目が覚めたみたいだね」


「…ここは…?」


 混乱した頭で問うと、三貴は「病院だよ」と苦笑いだ。

それから、三貴は無理矢理起き上がろうとする俺の体を押さえつけ、枕元のナースコールを押す。そして、看護師が来る間に説明をしてくれるみたいだ。



「お前、運ばれてから半日くらい寝込んでたんだぞ」


 その言葉に目を丸くする。


 だって、俺が見回りをしてたのは夜中の22時頃のことだ。それから殴られて…運ばれたとして。


 時計を確認したら、15時。そしてカーテンは開けてあり太陽の光が部屋に入り込んできて、明るい。つまり、半日もずっと寝ていたのか…?



「まぁ、頭を打ってたからね。後遺症も無いだろうし、取り敢えずは一安心だよ。


 あ、そうそう、此処は國木田病院。ほら、よく世話になってるだろ?今は華狼の下の奴等も何人かいただろ。…確か。


 ほら、お前。火蛇の奴等に頭を鉄パイプで殴られただろ?それを……、」




 それを…?何だ。


 というか、俺を襲って来たのはやっぱり火蛇の奴等だったのか。

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