第16話
それから樺月は気絶してる間に幾つかの検査を受けた。その間私と紫保はといえば、立ち会わせたのでと待合室に控えていた。
帰ってもよかったが、樺月の保護者とは知り合いでな。久しぶりに顔を合わせてやろうかなと。…聞きたいこともあるなぁ、なんて思いながら暇を持て余し欠伸を噛み締める。
自販機で買った缶コーヒーを飲みながら、私は仕事用のスマホを弄る。先程の鉄パイプを振り回してた男達の情報集めだ。
大方分かってるが、細かな情報を手に入れとかないといざと言う時に負けるからな。そこで念の為…と言ってはなんだが、調べてる。
「そろそろ来るらしいわよ、三貴(みき)さん」
「あー、そうか。じゃあ私は三貴と話したら帰る事にするよ」
私がスマホを弄ってる横では、紫保が三貴からの連絡を受け取っていた。
少しして。
病院の廊下にちょっと早めの革靴の音が響く。どうやら、待ち人の到着のようだ。
足音が大きくなり、速度が遅くなる。見知った人影が見えてる私はそちらへ目を移す。
「久しぶり、三貴」
「…本当に、お久しぶりです」
敬語なんて使う彼、佐々木 三貴(ささき みき)に苦笑いしながら、敬語はやめてと言う。
「じゃあ、お言葉に甘えて。…珠優を見つけたのがまさか紅華ちゃんと紫保ちゃんとはね…?」
苦笑いで告げる三貴に、私は苦々しい表情になってしまう。
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