第15話

アレから樺月は救急搬送された。ついでに私と紫保も付き添いとして病院に足を運んだ。


 …近くに倒れてた朝比奈の下っ端の奴等も病院にぶち込んどく。しばらくは意識が戻らないだろうからな。



 待合室で看護婦に「樺月さんの意識が戻るまでに、保護者の方へ連絡を…」と声を掛けられるが、めんどくさい気配を察知した紫保が「あ、すみません。私達この人と接点無いんです…たまたま居合わせて」なんて答える。


 嘘はついてないよ、嘘は。


 じゃあ、と話し掛けた看護婦の言葉を遮るように現れた人。




「それじゃあ、保護者の方にはこちらから連絡しておこうかの」


 なんて笑って会話に入ってきたのは、白衣を着たおじいさん。彼は、私や紫保の方を見るとニッと人の良さそうな笑を浮かべる。



「久しぶりじゃな、紅華と紫保」


「お久しぶりです、重光(しげみつ)さん」


「久しぶり、重さん」


 彼の名は國木田 重光(くにきだ しげみつ)先生。昔から扇木組と縁のあるお医者様だ。

 相変わらず元気なじいさんだなんて思ってる間に、重さんは看護婦に樺月を検査につれてってと頼んでいた。


 

「頭を打ってるようじゃからの、脳にダメージが無いかを調べるんじゃ。もし、大事な脳に怪我があれば…」


「後遺症が残る、って?」


「ふふ、まぁ現場の人間の方がわしよりよぉ分かっとるようじゃからな、わしは大人しく仕事でもしとくわ」

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