第5話

隣市、都戸(とど)市にコチラの人間を紛れ込ませたら、ソイツは病院送りにされ今は治療中だ。


 前途多難とはこのことかと、思わず重たいため息が落ちる。



 夜の街独特の音、空気、風をぼんやり眺めていれば、スマホが鳴ってる事に気付く。

 開いて見れば、通知が4件程溜まっている。バイブレーションにしてたから周りの人の声で通知に気付かなかったな、なんて。




「嗚呼、なんだ?」


 電話の相手は、幹部の1人である〝深崎 一黄(みざき いつき)〟だ。

 情報を管理してるアイツが幾つも連絡を入れてくる時は、割と大事な要件の時。それを知ってる俺は、バイブレーションにしていた自分に舌を打つ。



「珠優!翔(しょう)がやられた…っ!

相手はまた火蛇だ!今病院来てるから、早く来て!」


「翔が!?…分かった、スグ行く」


「うん。…あっ、未來(みく)ちゃん!?

…ちょ…ごめんっ、切るね!」




 ブチッと音ともに、通話が切れる。ウチで幹部の翔がやられるなんて、相手の戦力どうなってんだ。

 …そう思うと同時に、何故未來がその場にいるのかと疑問を抱く。

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