第6話

…確か、アイツらは日が落ちる頃には一緒に帰った筈だ。


 最近火蛇の奴等に襲われることが多く、姫である未來の危険を考えて翔が一緒に帰ってるのだ。…翔と未來は付き合ってるし家も近いからと、元々よく一緒に帰ってはいたんだが。




 でも、何故あの翔がやられた?


 いろいろ考えながら病院に向かって走ってると、電話が鳴る。…非通知。




「誰だ」


「もっしも~し。タカミヤ君を傷物にした火蛇の幹部のフジキ君だよ~、あ、わかる?わかる??ホンモノだよーーぉ?」



 嘘か本当か。でも、フジキ…〝藤木 龍(ふじき りゅう)〟の名前なら確かに火蛇の幹部として知っている。

 此奴が本物にしろ偽物にしろ、話を聞かない限りは判断がつかない。それに、このタイミング。嫌な予感がする。



「…その幹部様が何のようだ?」


「あは、ノリ悪い。

いやぁ、にしても君達はホントに正義感満載だね!あのタカミヤ君、下っ端の奴らが姫である未來ちゃんを狙ったら、タカミヤ君がすかさず庇うからあっという間に血まみれー!


お姫様は泣いちゃって!あー、悲劇悲劇!」



 ケタケタと狂気じみた楽しげな声を聞きいて、1人納得する。

 成程。此奴等が複数だったのに対して翔は未來を庇いながら対応した為に、怪我を負った…か。



「情報をありがとう、と言うべきか?ちっとも有難く思わねぇけどな」


「あは、だろーね。それよりぃ、夜道は背後に気を付けてねぇ?うっかり、殺られちゃうかもだから!」


 楽しげな男の笑い声を最後に、通話は一方的に切れた。



「『背後』…?


…ッ!!!」



 音もなくイキナリ現れた殺気。そう思って振り向くも遅く、鉄パイプで頭を殴られ、ふらりと倒れる。


 ああ、クソ。コレは打ち所がやば…




 そう思ったところで、俺は意識を手放した。

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