十七、殿下の襲来
「歓迎なさい!
その声と共にペイナの危うくも安定していた里での日々は変わり始めた。
リーヤアイナ・デーナ・クリーグ。現クリーグ女王であるエヴシーテ・デーナ・クリーグの姪。十九歳とまだ若いが聡明で公明正大な人物として市井でも評判の良い少女だ
ペイナは目の前の少女を見る。態度が大きく、評判やペイナの想像とは全く違う。一度リーヤアイナを見かけた時も大人しくとても聡明に見えたというのに。
リーヤアイナは明け方に里にやってきて、ペイナが暮らしている建物、、、龍の家の離れに突然押しかけて来たのだ。ルドやミーシェたちはまだ来ておらず、部屋にはペイナとラゼン、そしてリーヤアイナが居座っている。
「お久しぶりです。殿下」
ペイナとラゼンは居住まいを正し最敬礼をする。
「お主は、、、ベルア族の銀目か。城で一度会ったな。それとグラジュルの護衛か?見かけた気がする」
「その通りです。ペイナとラゼンと申します。殿下はどうしてこちらに?」
「うーん。この里まで来た理由はたくさんあるが、、、。簡潔に言うならば反抗期だな。叔母上に反抗するために来た。私だってベルア族を滅ぼす計画には思うところがある」
「、、、はあ」
「なあに。それだけじゃない。重要事項を伝えに来た。ペイナを匿っているやつを呼んでくれ。そいつに用がある」
「ルドさんに、、、?」
「俺が呼んでくるよ。ペイナは殿下とここにいて。では殿下。失礼します」
ラゼンが立ち上がって部屋を出る。ペイナは部屋から出ることが少ないのでラゼンの方がこの建物について詳しいのだ。
「あの、殿下」
ペイナは不敬だとは思いつつ、リーヤアイナに声をかける。しかしリーヤアイナは気分を害した様子もなく答えた。
「なんだ?」
「この里までおひとりで来られたのですが、、、?お付の方とかは?」
「そんなものいない。私は家出したのだからな。それに、ベルア族の里へ行くなど絶対に許可がおりない。叔母上は大変ベルア族を嫌っているからな」
「はあ、なるほど、、、?」
王族が一人で出歩くのはいかがなものだろうか。リーヤアイナは護衛すら付けなかったのだろうか。
「そうだペイナ」
「なんでしょうか」
「ベルア族過激派を全滅させることについてどう思う?」
「あまり賛同できません。過激派の一族と血が繋がっているだけで無関係な方もたくさんいるでしょうし。それと、、、」
「それとなんだ?」
「エヴシーテ陛下がそこまでする理由が分かりません。反乱の種になるからと、それだけで一民族を滅ぼしたら反響が大きそうです。陛下はそれが分からない訳が無いのに何故、と思ってしまいます」
「そうだな。もっともな意見だ。頭がきちんと回っていてよろしい」
「リーヤアイナ殿下はどのようにお考えでしょうか」
「私は叔母上がベルア族を憎む理由を知っておる。しかし私怨ばかりではない。だが極端すぎる。よって私は叔母上に賛同できん」
「理由をご存知なのですか?」
「それを伝えるために私はここに来たのだ。じきにわかる。ほれ、ラゼンとルドとやらが来たぞ」
リーヤアイナがそう言うと戸が開かれた。ラゼンとルド、それからミーシェとオベリアが立っている。オベリアはすでに人数分の茶を用意していた。流石である。
「私はリーヤアイナ・デーナ・クリーグ。お主らの名はなんと言う?」
リーヤアイナが余裕のある不遜な笑顔を見せた。
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