枯れる

 学校での桜子は、大人しい。

 

 

 というか、姿勢も良く凛としているといったご様子…なのだけれども、冴木くんが桜子のところにやってくると、桜子はめっちゃ顔を赤らめて、自分の髪の毛をサワサワして挙動不審になる。

 

 

 …

 

 

 そんなに、恋愛マンガ効果ってすごいん?

 

 てか、桜子には刺激が強すぎたのかなー?

 

 

 桜子がもし、本を読み終わっているのなら、オレの本とトレードしようと思う。

 

 

 どうしよう、オレもあの本読んだら冴木くんみて赤面しちゃうかも?

 

 …なわけないか。

 

 

 てかさ、席替えしてよくよく二人をみていると…

 

 

 なんか、桜子からよく冴木くんの机に遊びに行っている感が…。

 

 

 最低でも、一日三回は必ず桜子から冴木くんの席に行くのだけれど…

 

 桜子ってば、ほぼずーっと冴木くんのことみているんですよね。

 

 

 どんだけ大好きなんだよ…。

 

 まぁですよ、オレもほかの人からしたら…めっちゃ桜子を凝視してるから、どんだけ幼馴染が心配なんよ?ってことなんでしょうけどね…。

 

 めっちゃ桜子のこと、みてるんよ…

 オレってば…。

 

 でもー…好きだから気になって仕方ないんです…。

 

 あと、不安だし…

 

 

 

 

 そんな桜子は、彼氏が大好きなんだろうし、毎日一緒に帰っているらしいが、彼氏とバイバイすると、なぜかオレの部屋にくるんよね…。

 

 

 それも、おされしてさ。

 

 おしゃれっていうより、おされなんよね。

 

 …

 

 どういう違いか、いってるオレも意味わからんけど。

 

 

 そんな意味不明な、おされな桜子にオレは…あの、例の恋愛本を借りた。

 

 

 オレの買った本も桜子に貸した。

 

 

 オレの方の本は、そこまで刺激的ではない。

 

 だから、桜子も大丈夫だと思うけど…

 

 桜子から借りた本は、どんだけ刺激的なんよ?って読んでみたけど…

 

 

 なかなかピュアな可愛らしいお話でした。

 

 

 …

 

 なんなん?

 

 これを読んで…桜子はそんなに挙動不審になったん?

 

 

 …

 

 不在です。

 

 オレの脳みそが不在なんじゃないかってくらい…もう、なんで?ってなりましたよ?

 

 

 桜子は、なぜあの本を読んでそんなにも赤面したり、挙動不審になったんやろか…。

 

 

 よくわからないけど、桜子が恋愛の沸点にたっしているのなら、それは仕方ないことです。

 

 

 だがしかし‼︎

 

 オレもやきもちの沸点にたっしてしまいそうです。 

 

 

 お湯なら最高温度が決まっております。

 

 しかし油だったら、どこまでも温度は上がる一方です。

 

 

 …

 

 

 オレは、お湯ですか?油ですか⁇

 

 …

 

 わからない。

 

 

 そもそも桜子もお湯か油か……。

 

 

 そんなくだらないことを考えていたら、いつのまにか理科の実験のお時間です。

 

 

 席替えをしたことによって、オレは冴木くんと同じ班になりました。

 

 ごめんなさぁい♡桜子さんの彼氏のおとなりゲット♡っていっている場合じゃない…。

 

 

 …

 

 

 なんか沈黙ってのも嫌なので、冴木くんに話しかけてみた。

 

 

「最近、桜子とよく一緒に帰ってるみたいだね」

 っていった。

 

 そしたらさ…

 

 冴木くんが……

 

「あー、うん。桜子ちゃんが毎日一緒に帰りたい。って言ってきたからさ。」

 

 なんて言ったんですよ。

 

 

 はい?

 

 

 桜子は、珍しく随分と積極的でした。

 

 

 …これは、どこまでも温度が上がってしまう油さんなのでは⁉︎

 

 

 オレは…なんてことをしてしまったのでしょう…。

 

 火に油をドバドバってしてしまったんやね…。

 

 

 あー…オレって、幼馴染桜子の恋の応援して、自滅してるんですね…。

 

 

 そりゃ冴木くんは、めっちゃかっこいいし…桜子が大好きになるのもわかるよねー…。

 

 

 …

 

 

「仲がよくていいね!」

 

 オレは明るく笑顔で笑ったよね。

 

 冴木スマイルには、かなわないけどさ…。

 

 ここでオレがムクれたら、冴木くんにも桜子にもオレの気持ちが気づかれてしまいかねない。

 

 だから、オレは必死だったよね。

 

 ほんとは仏頂面で、へー。って返したかったんだけどね。

 

 

 てかさぁ…さっきから視線を感じるんだよね…⁇

 

 

 チラッと視線を感じる方をみると、桜子がめっちゃオタオタしながらこちらをみておりました。

 

 …

 

 桜子さんや…。

 

 どんだけ冴木くん好きなんよ…。

 

 

 もうさ、オレの心のハートがしなけるくらい冴木くん大好きやん…。

 

 人のハートの心を枯らすなんて、恐ろしい幼馴染め…。

 

 

 あーあー…  

 

 ー急募ー

 

 オレの枯れた心にキレイなお水かけてくださるお方。

 

 

 …

 

 いるわけない。

 

 さ、心を枯らせたまま勉強しよぉっと。

 

 

 

 

 …

 

 

 

 続く。

 

 

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