漫画効果⁉︎

 次の日、冴木くんはいつも通り桜子に話しかけていた。

 

 

 桜子は…顔を真っ赤にして冴木くんを少し避けつつあった。

 

 

 ?

 

 どうしたのだろう⁇

 

 

 学校では、いつも背筋がピンとしていて凛としたイメージだったけど…トゥデイは、バッドヘアーだし…なんなん⁇

 

 少し寝癖が前髪についている。

 

 …

 

 どうしたのだ⁉︎

 

 桜子は、赤面したままオレをチラチラみている。

 

 助けてくださいの合図か?

 

 よくわからなかったけど、とりあえず二人の会話に入ることにした。

 

 

「冴木くん、おはよう。桜子もおはよう」

 といい、当たり前のようにカップルにねじ込むオレ。

 

 

「あ…お、おはよう。」

 

 やっぱり挙動不審な桜子。

 

 冴木くんは、朝からめっちゃ爽やかソーダ水感あふれんばかりでおはよう返しをしてくれた。

 

 

 オレもソーダ水感でなくてもさ、せめて微炭酸でもいいから、爽やか人間になりたかったぜ…と、悔やんだ。

 

 まぁ、悔やんでもどうしようもないのですが。

 

 

 それにしても桜子は、なぜそんなに赤面しているんでしょうかね?

 

 

「桜子、どうかした?」

 

 オレが桜子をみると、

「あー、えーと…あー」

 と、いきなりマイクのテスト中ですか?ってくらいあーとかえーしか言わなくなった。

 

 

 それをみた冴木くんは、クスッと笑って

「桜子ちゃんって、いがいと天然だったりする?」

 って言ったんですよ。

 

 

 そしたら、桜子がまためっちゃ赤面していた。

 

 

 おや?

 

 もしかして…昨日本読んだのかな⁇

 

 それで、まさか冴木くんをみると自分と冴木くんが、あの漫画みたいにっ!みたいなことを連想して、恥ずかしくなっているんじゃ⁉︎

 

 

 冴木くんとのキスとか、ないって言ってたけど…

 

 もしかすると…冴木くんにチャンスがまわってきたのでは⁉︎

 

 

 …

 

 オレは…オワタネ。

 

 自分の恋をつぶしたんやね…。

 

 このまま冴木くんと別れれば…オレだってワンチャンあったかもなのに…

 

 桜子がめっちゃ冴木くんを意識しだしたんやろうね…。

 

 

 そうさね…

 

 冴木くんは、漫画の主人公みたいなイケメンだからさ…。

 

 

 桜子も恋愛ってやつをやっと理解したみたいやね…。

 

 

 ならば、これからは…うまくいくんやろうね…。

 

 

 恋愛初戦敗退ナンバーワンの桜子さんは、ついに脱却するのでしょうね。

 

 

 サナギから蝶になられるのですね。

 

 

 おめでとうございます。

 桜子さん…。

 

 そしてさよなら、桜子さん…。

 

 きっと彼氏にどっぷりおでんみたいに、染み染みに染まるんよね…。

 

 そしてオレのことも忘れていくんやろうね。

 

 もう…オレの部屋にもこないんよね。

 

 いつも彼氏とデートデートデートのアップデートでしょうよ。

 

 あぁ、いいさ。

 

 蝶々になって飛びまわる桜子を応援しようじゃありませんか!

 

 

 …って、赤面した桜子は、

「て…天然…とは、どこからどこまでをおっしゃっているというか……や、やっぱりおっしゃらなくて大丈夫です。すみませんがお手洗いへ失礼します」

 

 と、桜子は席を立ち上がった。

 

 

 そして、猫に追いかけられた鳥みたいになって、慌てて席を外したのでございました。

 

 

 …

 

 二人きりになったオレと冴木くん。

 

 …とりあえず顔を見合わせ、オレはうっすら笑みを浮かべて、小さなお辞儀をペコリとしたら、自分の席へと戻った。

 

 

 あのー…どうされましたか?桜子さん…?

 

 さっきの赤面と、慌てっぷりは…もう、うっかりランドセルと洗濯かごを間違えて背負ってきてしまったくらいの慌てっぷりでしたよ?

 

 なんなら…ジャンバーの代わりにハンテン羽織ってきてしまったくらいの慌てっぷりでしたよ?

 

 と、心でテレパシー質問したのですが…どうやら音信不通…といいますか…

 

 テレパシーなんて使えないし、そもそもそんな魔術みたいなことを授業でまだ教わっておりませんでした。

 

 

 あ、まだ習っていないっていったらこれから習うんです!みたいになりますね…

 

 

 えぇ、みなさんご存知の通りそれは習いません。

 

 

 なぜなら、そんなこと教える講師がおりませんので。

 

 そう、たぶん…そんな技を使いこなす人がいないのでしょう。

 

 

 オレってば、そんなことも知っててテレパシーを送るなんて、暇なおバカさん♡

 

 くふふ♡

 

 って、かわいくいってみたけど…

 

 心はほんとはグレーです。

 

 なんならくもった鏡くらい、すさんでおります。

 

 …

 

 水拭きして、乾拭きした窓くらい地味にくもっております。

 

 

 せっかく掃除したのに、もっと汚れる窓…

 

 

 今のオレです。

 

 

 幼馴染に恋を教えてしまい…

 

 幼馴染は…彼氏にきっと…

 

 きっと、ときめいているのかもしれません…

 

 

 キラキラクリスタルのハートになっている可能性が高いですね…。

 

 

 それはキレイだわよ♡

 

 みてみるんだわよ♡

 

 っていいながら…

 

 落ち込むんだわよ…

 

 …

 

 

 続く。

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る