食べかた

 彼氏がいるのに他の男の部屋で呑気に昼寝とか…ってヤバいよね?

 

 

 まぁ、桜子にしたらオレは男として見られていないのだろうけどさ…。

 

 

 それから一時間後、桜子はスッキリ目覚め帰宅した。

 

 

 桜子は、いつでもいくらでも眠れるからいい。

 

 でもさ、オレは…

 

 桜子に新しい彼氏ができて…しかも手を握り合ったって聞かされて…

 

 ぜんっぜん寝れませんでしたよっ‼︎

 

 

 

 そして次の日…

 

 桜子は、昨日とは別人なんじゃなかろか?ってくらい凛としていて、お美しかった。

 

 

 …オレの部屋にくる桜子とは、まったくの別人っぽいんだよね。

 

 学校での桜子の話し方とかさ、ニッコリしながら

「ええ、そうね。」

 とか、

「まぁ、それは素敵」

 とかおっしゃっておられるのですよ。

 

 学校では、ポテト二本食いとかもしないし、給食中なんて、ハンカチ持参しておこぼれをハンカチで丁寧に拭っておられるのですよ。

 

 

 てかさ、オレたちは同じクラスなんだけど…

 

 彼氏ってヤツもまさかの同じクラスでした。

 

 

 …

 

 いやー、世間ってのは狭いんですねー。

 

 

 桜子と彼氏をみていると、どうやらまだそこまで親密な仲ではなさそうな雰囲気だ。

 

 挨拶を交わして、少し会話するってな感じだ。

 

 とりあえずホッとした。

 

 だって、教室のど真ん中で…おてて握り合い、見つめ合い…なんて始まったら、これは地獄ですからね。

 

 オレだけじゃなくて、たぶんみんなそんなの見たくないよね。

 

 

 放課後…は、一緒に帰るのだろうか…

 

 

 …

 

 じっと鳥を見つめる猫みたいに、オレはあの二人が一緒に帰るのか見入った。

 

 

 

 …

 

 どうやら一緒には、帰らないらしい。

 

 

 少しホッとしたけど、心配だ。

 

 なぜ一緒に帰らないんだ?

 

 まさか…まさか桜子のやつ、やらかしたのか?

 

 二日目でフラれたのか⁉︎

 

 冴木くん‼︎

 

 苗字がさえきなだけあって、さえているのか?

 

 もう、ポンコツ桜子を見抜いたってのか⁉︎

 

 

 心配になり、オレは冴木くんに話しかけていた。

 

 

「あの、冴木くん…か、彼女と一緒に帰らないの?」

 と。

 

 すると冴木くんは、ソーダ水みたいな爽やかさで、

「あぁ、今日は用事があってね」

 といい、颯爽と帰っていった。

 

 

 トクゥン♡

 

 

 やだ、冴木くんったら、めっちゃカッコいい‼︎

 

 と、男のオレでもおちるくらいかっこよかったのであります。

 

 

 

 …そんなかっこいい彼氏をもつ幼馴染の桜子は、なぜか今日もオレの部屋にいます。

 

 

「あのさー、食べやすい食べものってなーんだ?」

 って言われましたが?

 

 …なぞなぞか?

 

 

「あ、空気」

 

「ちょっと、真面目に聞いてるんだけど?デートで食べやすいやつ‼︎」

 

 なんてプチ怒りだ。

 

 …全然、なぞなぞじゃなかった。

 

 なんなら…恋バナ的な?

 

 

「知らないよ。なんでデートで食べやすいものって…おかゆとか?歯が痛いならデートやめて歯医者行くのが先だろうに」

 

 

「違う‼︎大口あけたら恥ずかしいでしょ?それに食べ方汚いと思われたくないし…」

 

 とか言っちゃってます。

 

 いま、まさにめっちゃ大口でお菓子頬張ってるくせに。

 

 そして食べやすいように、お菓子の袋いい感じに尖らせて、口にながし込んでおりますが?

 

 

「そうやって豪快に食べればいいじゃん」

 

「それは無理‼︎また…だって…」

 

 …桜子は、とにかくモテるけどすぐに向こうから別れを告げられてしまういきものなのでした。

 

「あー、ならクレープとかは?クリームモリモリのじゃなくて、薄めのやつ。アイス乗っかってればスプーン付いてくるだろ?」

 と、アドバイスしてあげた。

 

 すると、

「たしかに!ありがとう。恋愛マスター」

 って言われたよね。

 

「その呼び方…絶対バカにしてるよね⁉︎」

 

「まさか、ほんとに感謝してるよ〜。お昼はクレープ一択♡」

 と、嬉しそうにクレープ屋さんを携帯で検索しているのでございます。

 

 

 …

 

 デートか。

 

 

 あーあー…

 

 うまくいかなきゃ心配だし、うまくいけばもっと…心配っていうか…しんどいな…と思うオレなのであります。

 

 

 続く。

 

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