第2話

「アリシア……」

「アルベルト……私の所に来たっていう事は、勇者様からの話を聞きましたね」

「あぁ、それで相談しろって言われた」

「では、私の使う部屋で話をしましょう」

 そう言い宿屋で別々に別れた部屋でアリシアが使う部屋に俺は招かれた。

 ……俺の婚約者であり幼馴染のアリシアは今も心が俺にあるのか分からない

 正直勇者様に傾いててもおかしくないと思ってる。

 自分に絶対の自信がある勇者様と、自分に自信が持てずにいる婚約者。

 どちらに気持ちが傾いてるかと考えてしまった。


 部屋に入り、椅子にかけるなりアリシアは単刀直入に本題を聞いてきた。

「なぜ、何も言ってくれないのですかアルベルト」

「なぜって何も言う事なんて……」

「嘘です!後方から見てるから分かります。

 貴方は戦闘中、何かに気を取られて動きが散漫としてるんです!

 何に気を取られてるのか教えてください!」

 私は貴方の婚約者なのですよ

 なぜ私に相談しないのですかとアリシアに泣かれた。

 俺はアリシアを泣かせたくなかったが、泣かせてしまった。俺は最低だ……

「……笑わないで聞いてくれるか?」

「当然です、長年付き合いのある関係ですよ?

 なんなら小さい頃、私が貴方の驚かした拍子でおも――」

「あー!待ってくれストップストップ!!」

 思わずアリシアの口を塞いでしまった。

 俺の幼少期の恥ずかしいエピソードを語られそうになった。

「その、だな。線が見えるって言えば良いか?」

「線が、見える?」

「初めはただの線と思ったが……

 その線が攻撃の予告線とかだと分かるようになってな」

「一種の予知じゃないですか、でもそれがどうしたんです?」

「アリシア達に向かってるんだよその線」

「……え?」

 そんなまさかって反応をしているアリシア。

 そんな線をアリシア達は反応してないから

 おそらく俺にしか見えてない可能性があるな

「で、俺がそれに合わせて剣を振るうとな、その線が消えるんだよ」


「……ちょっと思考させてください」

 そう言って考え事をするアリシア

 アリシアは魔法使いで呪文を覚える為に日夜勉強しているので頭が良い。

 ぶつぶつ呟いた後、考えが纏まったのか

 いくつか質問しますので答えてくださいと言われたので俺は質問に応じる。

「一つ、それは攻撃以外の強化魔法とかも見えますか?」

「見える、自己への強化も、誰かを強化や弱体化しようとしててもそれが見える」

「一つ、それは貴方がそれを対処しなかったら

 その通りに攻撃や魔法等が行われましたか」

「行われた。

 攻撃の線は大体アリシアに向かってたから、防がなきゃと思うようになった」

 あ、私、ちゃんと護られてたんだとアリシアは呟きながら頬を赤くしてる……

 が、顔を振り声が上擦りながら質問を続ける。

「ひ、一つ、その攻撃予告線、貴方の攻撃であれば何にでもその前兆を潰せますか」

「今のところは全部潰してる……

 けど、力の入りが悪くてどうしても弱い攻撃になってる……かな」

「なるほど……」

 質問はもう無いのか、再び思考し始めるアリシア。

 何か良い案でも思いつくのだろうか?

 そう思い答えを出すまで待ってみる。


「……確かに剣士だと向いてないかもしれませんね」

 無意識に呟いてるのかアリシアにまでジョブの剣士を否定された。

 特に長い期間アリシアと共にいたから、勇者様より重く響く。

「いえ、正確にはアルベルトの守ろうとする動きが

 剣士だと向いてないと言うべきでしょうか」

 続けて呟かれたのはさっきと打って変わって

 守ろうとする動きが剣士に向いてないという物だった。

 そして魔法が使えるのなら行けるのではと考えが纏まったみたいだ

「アルベルト、確か貴方は魔法も使えない訳では無いですよね?」

「あぁ、アリシアの方が強いから剣士って思ってたんだけども」


「私を信じられるのなら、魔法戦士兼ガンナーになりませんか?」

 アリシアがジョブチェンジを提案してきた。

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