第18話 無効化

その時、仙台がふと閃いたように言った。


「俺が……3秒で突っ込む……!」


「でも、今の状態じゃ……」


「いや、彼が指定しているのは“動きが遅くなる”だけだ。だが、俺の能力は、あらかじめ指定された3秒間は絶対だ!もし奴が俺の動きを捉えられなければ……!」


仙台の言葉に、俺はすぐに理解した。彼の能力「3秒で到達する力」は、どんな状況でも一定の時間内で目的地に到達するため、男のキーボード操作による遅延効果を打ち破れる可能性があった。


「仙台、頼む!」


仙台は鋭く頷き、狙いを定めた。そして、キーボードに集中している謎の男の背後を目指して走り出した。彼が動き始めた瞬間、男の指がキーボードの上で止まる。


「何だ……?」


3秒。ぴったりのタイミングで、仙台は男のすぐ背後に到達し、そのキーボードを打つ手をはじき飛ばした。


「やった……!」


キーボードが宙を舞い、男の制御が一瞬途切れたその隙に、俺たちの身体は元通りに動けるようになった。


「お前の力も、万能じゃないみたいだな!」


俺は左腕に力を込め、男に突進した。だが、彼は不敵に笑いながら、再びキーボードを手にし、素早くキーを叩いた。


「甘いな。“反撃を無効化”だ」


次の瞬間、俺の拳が男に届く寸前で止まった。まるで見えない壁に遮られたかのように、力がすべて消えてしまった。


「くそ……」


キーを押す音が鳴り響く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る