第17話 キーマスター
「君たちはまだ、自分の力の本当の意味を理解していない……」
謎の男は、冷たい笑みを浮かべながら、目の前に不思議な光を放つキーボードを呼び出した。それはまるで現実を超越した存在のように、空中に浮かび上がり、輝いている。
「これは……なんだ?」
俺はその異様な光景に言葉を失った。キーボードのキーを軽く叩いた瞬間、周囲の空気が一変し、まるで時間がゆっくり流れているかのように感じた。
「たった一つのキー操作で、現実を変えることができるのさ。君たちが動けなくなることも、簡単だ」
男はキーボードを見ながら微笑み、指をいくつか動かすと、俺たちの身体が突然重くなった。動こうとしても、まるで足に重りがつけられたかのように動けない。
「くそ、動けない……!」
俺は全力で足を動かそうとしたが、何も変わらなかった。仙台も桐生も同様に苦しんでいる。桐生が必死に視覚を強化しようと目を凝らすが、その力さえも抑え込まれているようだ。
「無駄だよ。『動きを遅くする』とキーボードで入力してある。君たちは、私の指示通りに動くしかないんだ」
男は冷ややかにそう言いながら、再びキーボードを打ち続けた。彼の指が次のキーに触れるたびに、俺たちの世界は歪んでいく。
「……こんな……力が……!」
俺はなんとかして動こうと努力したが、その力の前では無力だった。全身にのしかかる重圧に耐えながら、必死に何か突破口を探していた。
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