第10話 正義とタイミング
翌日、俺たちは加賀の指導を受けていた。仙台もその特殊な能力を駆使しながら、戦術を磨いていた。彼の力は非常に正確で、どんな状況でも指定した場所に3秒で到達することができるため、戦闘において非常に貴重だった。
「仙台、次のポイントを指定する。攻撃が来るのはあの柱の裏、敵がそこに隠れている。すぐに駆けつけろ」
加賀の指示が飛ぶ。仙台は一瞬の迷いもなく、その柱を指差し、走り出した。足の動きは普通だが、3秒後には確実に指定した場所にたどり着き、そこに潜んでいた敵の影を一撃で倒した。
「すげえ……」
俺はその正確さに驚いた。仙台の能力は単なる瞬発力ではない。時間と空間を完全に把握し、3秒という制約を逆手に取るその動きは、まさに戦術的な芸術だった。
「仙台の力はすごいな。正確に時間を計れるのが鍵だ」
桐生が隣で感心しながら呟いた。彼女もまた、俺たちの力に興味を持ちながら、どうそれを制御していくかを模索しているようだ。
しかし、俺の「正義」という力は、まだその扱いに迷いがあった。暴力がどんなに過激でも、どんな手段を使っても法に触れないという力。それは、自分の行動に対して何も罰を受けないという免罪符でもあった。
「お前も考え込むな。力の使い方を見つけるためには、まず自分が何を守りたいのかをはっきりさせるべきだ」
加賀が俺にそう言いながら、仙台の方を見た。
「仙台のようにな。彼は自分の力を人を救うために使おうとしている。そのために、戦術を磨き、3秒の中で最善の動きをする。お前も自分の『正義』が何を守るためにあるのか、答えを見つけるべきだ」
俺はうなずきつつも、まだ心の中でその答えを探していた。
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