第9話 三秒ルール

「俺の力は、どこへでも3秒で到達できるんだ」


仙台がぽつりと呟いたその言葉に、俺は一瞬耳を疑った。3秒でどこへでも?そんな能力があるなんて、想像もできなかった。


「どういうことだ?」


「簡単に言えば、どんな距離だろうと、どれだけ障害物があろうと、俺は指定した場所に必ず3秒きっかりでたどり着くことができる。短距離でも、長距離でも関係ない。ただし、3秒がかかる。それ以上でも、それ以下でもない」


仙台は少し困ったような表情を浮かべながら続けた。


「だから、いざという時には俺は逃げられる。誰かを救うために駆けつけることもできる。だが……この力には限界もある。たとえば、相手がすぐ目の前にいても、俺がそこに着くのに3秒はかかる。だから、予測やタイミングがすごく重要なんだ」


俺はその話を聞いて、彼の力が非常に特殊であると同時に、使い方次第ではとてつもなく強力であることに気づいた。相手がどれだけ速く動こうと、どんな障害物があろうと、仙台は3秒できっかり目的地に到達できる。それは、彼が状況を正確に把握し、的確に判断できれば、戦闘や救出において無類の力を発揮するということだ。


「それが……お前の力か」


「そうだ。俺はこの力を、誰かを守るために使いたいんだ。自分自身のためじゃなく、仲間や大切な人を救うためにね」


仙台の言葉は力強く、迷いがなかった。それに比べて、俺はまだ「正義」という力にどう向き合うべきか、答えが見つからないままだった。


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