Wデート?
交渉
それから1週間後のお昼休み。美雪と中庭のベンチに腰掛けてお弁当を食べる。
あの後、涼と少し喋って1時間目が終了した後に教室に戻った。授業を抜けていたことをクラスメートに怪しまれているかな?って不安だったけど、健が前もって保健室に行ったことにしてくれていたみたいで大丈夫だった。
涼に慰めてもらったおかげですっかり元気を取り戻し、健とも気まずくなることはなく今までと何も変わらない普段通りの生活を過ごしてる。
結局、健も美雪と付き合うのはヤメたみたいだし。美雪が健に弄ばれなくて本当に良かった……と思っていたけど、美雪の健を思う気持ちは更にヒートアップしてるみたい。健を見る度にカッコイイって言ってる。
「祐希~。今日学校が終わった後って暇?」
玉子焼きを食べてたら美雪が私の顔を覗き込んできた。嬉しそうな笑顔が眩しい。太陽の光と合わさってキラキラと輝いて見える。
「うん?暇だけど?」
放課後は特に用事もないし、美雪からのお誘いに小さく頷く。すると美雪は眩しい笑顔を更にキラキラと弾けさせて前のめり気味に寄ってきた。
「それならあたしと祐希と健君と篠田君の4人で遊ばない?」
「え?4人で……?」
「そう。4人で。健君が今日なら放課後に遊んでもいいって言ってくれたの」
そう言って美雪は頬を緩ませる。お願いと見つめられたけど、返事に困る。
4人で遊ぶのか……。Wデートみたい。私も涼と遊びたいけど、でも私と涼が居たらデートの邪魔じゃない?
そう思いハンバーグを口に運びながら首を横に振る。
「お邪魔しちゃ悪いからヤメとくよ」
「邪魔なわけないじゃん。4人で遊ぼーよ」
「でも……」
「お願い」
だけど、美雪は手を合わせて必死に頼んできた。私が首を縦に振るまで譲らない勢い。
涼と授業をサボって以来、何故か美雪は頻繁に4人で遊ぼうと誘って来る。多分、私と涼がいい感じだと疑ってるっぽい。いっそその妄想が現実になればいいのに。
「実は篠田君の家に行くらしいんだよね」
「涼の家に?」
「祐希が来なかったら私と健君に挟まれて篠田君は独りぼっちだね」
渋る私の気持ちを揺さぶるように美雪が憐れんだ表情で明後日の方向を見つめる。健と美雪に挟まれて涼1人……。絶対に気まずいよね。
「分かった。私も行くよ」
「よし!決まりね!」
嬉しそうに顔を綻ばせて美雪はテンション高く飛び上がる。健と遊べるのが余程嬉しいらしい。さっそくスマホのメッセージアプリで健に報告を入れてる。
何だか乗せられちゃった気がする。でも、私も涼と遊べて嬉しいや。かなり久々だもん。
「じゃあ、放課後にね」
「うん」
そんなやり取りの末に私たちは放課後に涼の家に行くことになった。
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