第3話

ある日のことだった。買い出しからの帰り、少年が道の隅で寝転んでいる。

「どうしたの?」

おもむろに近づく。

少年は、涙を浮かべながら

「お母さんに捨てられちゃった」と言った。

そんなバカな話があるか。と思ったが、この大東京のど真ん中、親らしき人間はいない。私は少年に名前を聞く。

「武彦だよ」

「とりあえず警察に」

ずいぶん古くなったスマートホンから警察に電話をかける。そろそろ買い替え時だ。

「ハイ警察です。事故ですか、事件ですか」

「たぶん事件です」

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