第124話

「まぁまぁ、そう冷たいこと言わなくてもいいじゃねぇか。なぁ?コウ。お前だって、この子は大丈夫だと思ったから乗せたんだろ?」

金髪の人の真意を見極めるように、運転席の人は語りかける。


すると、はぁ、とため息をついた金髪の人は

「……勝手にしろ。ただし呼び名だけだ」

と言った。


その瞬間に騒ぎ始める助手席の人。

「よっしゃー!!!さすがヨウさん!!コウのこと言いくるめられるのなんてヨウさんだけっす!!!」


呆れた様に笑った運転席の人は

「はいはい。どーも。それよりも早く自己紹介したらどうだ?」

と軽くあしらっていた。


満面の笑みを浮かべ私を見た助手席の人は、

「俺、チカ!皆は俺のことそう呼ぶけど、君にはちーって呼んで欲しいなー?」

と見つめてきたので、私も微笑み返して


『はい。よろしくお願いしますね、ちー』

そう言った瞬間、ちーの顔が真っ赤に染まった。



「っ…今のは、反則だろ…」

そう呟き悶えているちー、やれやれといった表情をしている運転席の人、眉を寄せている金髪の人には気付かない私だった。

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