第123話

「そう言えば、自己紹介まだしてないよね?」

助手席の人が言う。


『確かに、してないですね…』

私がそう答えると、ニコッと笑みを浮かべたその人は、


「俺は、桐崎…」

「いい。無闇に名前を晒すんじゃねぇ」

と名前を言おうとしていたが、睨みをきかせた金髪の人に止められた。


「なんだよー!!コウがその子乗せたんじゃんか!!」

助手席の人は拗ねた様に頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。


「それとこれは話が違う。お前はもう話すな」

キツめに言い放つ金髪の人。話すな、とまで言わなくてもいいと思うんだけどな…


私がそう思っていると、たまたまミラー越しにこちらを見ていた運転席の人と目が合った。

すると、君の言いたいことは分かった、とでも言うように緩く微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る