第121話

そして即座に閉められたドア。

……これで完璧に逃げ道は塞がれてしまった。

暖かい空気が私を包み込む。


『あの……どうして私を乗せてくれたんですか?』


とりあえず、状況を整理するために聞いてみる。

すると助手席に座っていたフワフワで、ミルクティーとハチミツの中間の様な髪色の男の人が乗り出してきた。


「あー!それ俺も気になってた!!」

そう言った男の人はぱっちり二重に大きな目。

女の子みたい、と思ったけどきっとそう言われ慣れているし、言われるのは嫌いなんだろうな。

そう思い口を噤む。


「…助けたいと思ったから。それだけじゃダメなのか?」

金髪の人から予想外の言葉が飛び出す。私はただ道路の脇で群れを見つめていただけなのに。……助けたいと思ってくれたんだ。


『……ありがとうございます。助かりました』

頭で考えるより先に、その言葉が口から出ていた。

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