第120話

万が一、あいつだった時の場合に備えて逃げる体制をとっていた。だが、そんな私に降ってきたのは


「………おい」


よく通る低い声。そして同時に手首を掴まれた。


『ひっ…!!』

柄にもなくいきなり掴まれた手首に怯えてしまった。無意識のうちに体が後退していた。


そんな私の様子を見た金髪の男は

「……何もしねぇよ。乗れ」


そう言った。

確かに、私はさっきまで誰か乗せてくれないかな、なんて考えていた。でも車の中にいる金髪のこの人は、信用しても大丈夫なのだろうか…?もしかして、あいつの仲間で連れ戻されたりとか…有り得なくはないし…


小さい脳をフル回転させながら考える。

そんな時にグイッと体が引っ張られた。

「さみぃんだよ…早く乗れ」


気が付くと、その人に引っ張られ後部座席に座っていた。

……いや、その人の上に横抱きにされていた。

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