第115話

少しずつ、様子を伺って進んでいく。幸いまだ誰にも出会っていない。

そして玄関の前まで無事に行くことが出来た。勝負はここからだ。


仰向けに倒れた私の上に、気絶させた男を乗せる。そしてその男の右手を私の服の中に入れた。まるで私を襲っているかの様に。


スッと一度深く深呼吸をした。


『キャーッ!!!誰か!!助けて!!!!』

思いっきり、そう叫んだ。


その瞬間に三人の男が駆け寄ってくる。

「っ!?お前!!瀬南様になにをしている!!!」

口々にそう言いながら、三人がかりで男を離そうとしている。


その隙に、一番近くの男を気絶させた。勢いでもう一人も気絶させる。…あと一人だ。そう思っていると、その男に気付かれてしまった。


「何を持っている!?出せ!!!」

そう言って思いっきり腕を掴んできた。


『や…っ!ごめんなさ、っ…痛い…』


「っ!悪い、そんなに痛かったか…」

だがそんな男も、作った涙目で見つめると、すぐに手を離した。


『痛い、ですよ…っ、私の腕見てみて下さい…』


腕を差し出すと、男は覗き込むように見てくる。その隙に反対の手でスタンガンを決めた。

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