第111話

それにしても、せなはどうやって逃げ出した?見張りに置いている男は、少なくともせなのような力の弱い女にやられる奴らじゃない。それも大の男を六人もだ。


「おい、倒れていた奴らはどうだった」


組専属の闇医者にそう聞くと、予想外の答えが返ってきた。


「それが、全員気絶していました。見てください、首元にスタンガンの様な火傷のあとが残されていました。おそらくこれが原因かと。」


男達の首元を覗くと、確かにあとがあった。それも全員。……これは、せながやったと見て間違いないな。スタンガンなんて、よく使えたものだ…


そうしているうちに、倒れた男の一人が目を覚ました。


「おい、起きてすぐに悪いが何か覚えていることはないか?せなが逃げ出した」


「ん、え…若!?あ、俺……瀬南様に、秘密で頼みたいことがあるから耳を貸してくれって言われて…耳を寄せてから…記憶が無い。…あの可愛い上目遣いに騙されたのか…」


男は落ち込んでいたが、それを聞いた俺はキレていた。


せなの上目遣い見るなんざ百年早ぇんだよ。


気が付けばそいつの鳩尾に一発。一瞬苦しげな顔をした後、そいつはまた意識を飛ばしたようだった。

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