第92話

「孤児院…?それは…」


そう呟いた翔さんに、


『私、全くお父さんのこと分からないんです。顔も、名前も知らない。でも、会いたくて…』


そう言うと、


「何か知っていることは?本当に少しの手掛かりでもいい。何かある?」


『……そういえば、神成組、って知ってますか?』


そう訪ねた。その言葉を聞いた瞬間、一瞬だけ翔さんの目が見開かれた。


「どうしてその名前を知ってるの?瀬南くらいの年の子が知ってるものじゃないよ…?」



『私のお父さんが、そこの組員だそうなんです。今はどうか分からないけど…』

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