第2話 夢か現か
「そりゃお前アレだって。偶然飛んでった破片を人の形に見間違えたんだよ、裕志」
昼食を終えた長めの休み時間。暖房で気だるい室温に上がった教室で、気だるそうに机に突っ伏している茶髪の男が、これまた気だるそうに僕に向かって言った。
「本当に僕は昨日見たんだよ、瑞稀。あれは間違いなく人間だった」
そう訴える僕の顔を突っ伏したまま顔だけこちらに向け、高橋 瑞稀(たかはし みずき)は白けた表情で言った。
「そうじゃなきゃお前、疲れてるんだよ」
「瑞稀、もしかして馬鹿にしてる?」
大いに、そういうと身体を持ち上げ、今度は椅子に寄りかかり天井を仰いだ。
「朝聞いたし、ニュースにだってあったろ? 昨日のあれは高校のグラウンドに侵入した馬鹿が自前のドローンを爆破させた所為だって。今朝からヘリがうっさいだろうに」
そうつまらなそうに語る瑞稀は、面白くなさそうに窓の外に一瞥をくれた。彼の言う通り、今朝からこの町とは無縁な報道のヘリが空を飛び回り、ちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。
件の爆発について報道された地元県警の発表では、近隣の高校のグラウンドに侵入し自作のドローンの実験をしていたらしき人物がいたそうなのである。現場には何かが爆発したような跡があり、グラウンド一帯に金属片が飛び散っていたという。火災については敷地内の倉庫や、隣接する林に火が付いたため起こったとのこと。現在はそれ以上のことはわからず、詳しいことについては目下捜査中とのことだった。
「という訳でして、幸か不幸か偶々現場近くに居合わせた裕志君はその爆発現場を目撃するに至りました、ということです、まる」
相変わらず瑞稀は人のことを馬鹿にしたような物言いだった。
「けど、それじゃあ雷の件は?」
「しつけぇな。それもニュースでやってだろう、急激に強い寒気が入ってきてたから定期が不安定になって雷になったって。下から上がって見えたのは気のせいだよ。つか、お前はいつ気象予報士になったんだ?」
そういう瑞稀はまったく取り合う気がなかった。
「今のご時世陰謀論かオカルトか。心霊写真だってフォトショで簡単に作れる時代だぜ。それを言い張るんだったら証拠を見せろ、証拠を」
そういって身体を戻し、半目で手を伸ばして見せる。
「そりゃね、僕だって動画を撮ったさ。けどね」
そう切り返しポケットにしまっていたスマホを取り出した。
「“ヘレナ”、昨日の動画データを」
『裕志。先ほども伝えた通り昨日録画されたデータは存在しておりません』
スマホに入った補助AIは僕の声に対して何度目かの回答をした。
「昨日撮ったはずの動画が影も形もなくて、しかも補助AIも録画した記録がない。あくまでその情報はお前の頭の中だけにあるってか。知ってるか、そういうのって妄想って言うんだぜ」
「…………嘘は言ってないんだけどな」
そうかい、と瑞稀は手にしていたスマホを口元に近づけた。
「“ハル”。ちょっと聞きたいんだけど。録画データが記録になくてお前たちが覚えていない事ってある?」
『瑞稀。それは極めて低い確率で起こりえる物です』
「どの程度?」
『宝くじを買った方がマシなレベルです』
「だってさ、裕志。動画とるんじゃなくて宝くじ買えばよかったな」
瑞稀は半笑いで言った。
「瑞稀さ、真面目に聞く気ないよね?」
「そんな話を真面目に聞く馬鹿いるか? それを真面目に聞いたらこっちの頭までおかしくなるよ。そうじゃなかったら裕志、お前の“ヘレナ”がバグってんだ。そうに違いない」
間違いない、と確信するように瑞稀が頷く。途端、瑞稀のスマホから着信音が続けざまに鳴った。
手元のスマホの画面をのぞき込み眉間に皺を寄せた瑞稀。
「おい裕志。お前の“ヘレナ”がさっきから猛烈にワンギリとメールとメッセージを絨毯爆撃のように送信してきやがる。今すぐ止めさせろ」
こちらを指差し瑞稀が言う。というか、そんなことしてたのね。
「“ヘレナ”。やめようね」
『承諾しかねます、裕志。ご友人の瑞稀様は私に不名誉な発言をなされました。訂正と謝罪を要求します』
「あ、テメェこの野郎。“倫理規定”はどうした、“倫理規定”は?」
『“倫理規定”に記されている項目はあくまで“使用者による第三者への悪質な行為の補助”であり、今回のケースは“ADL”による自己判断による行為となるために非該当であると判断されます』
「詭弁だこの野郎! 大体、今のテメェの行動はどう考えたって人間様への反逆行為だろうが。それこそ“倫理規定”に反しているだろうが!」
『瑞稀様。これはあくまで抗議活動であり、人類に対する反逆行為に接触するような行為には該当いたしません。それゆえに貴方様の“ADL-HAL”についてもこの行為に対して警告は致しておりません』
『瑞稀。当方の判断も“ADL- Helena”の行為については妥当性があると認識しております』
「あ、テメェこの野郎! お前も裏切りやがったな!」
眼前のやり取りを見て、こりゃスカイネットが誕生するまでそう時間がかからないな、と思った。
「分かった分かった。悪かったよ“ヘレナ”。お前に問題はない。お前の持ち主の頭と精神構造に問題があったよ」
椅子に寄りかかった瑞稀が降参をするように両手を上げた。
『瑞稀様。ご理解いただけて何よりです』
そう“ヘレナ”が言い、地味な連続攻撃を止めた。というより、僕が頭がおかしい点については了解するのか。
「しかしよ、裕志。仮にお前の言うことが万が一間違ってなかってたとして、人間がお前の言う通りそんな高く跳べるわけないだろう。それこそ、ロボットかドローンと見間違いたんじゃねーのか?」
「まぁ、そりゃそうなんだけど」
急に真面目に話してくれる瑞稀の指摘は正しい。人間が空を飛んでいた、と言っても瑞稀の言葉の通りそんな人間はありえない。あれはおそらくロボットなんだろう。
しかし。
「その空飛んでた奴ってーのはどの程度"人間"だったんだ?」
「それが。まったく人類瓜二つ」
「俺たちの知ってるロボットは?」
「飲食店のアレ。警備用の球体。後、掃除用の円盤。犬型、鳥型、ドラム缶。車輪と多脚の車椅子に僕等の手に持ってるコレかな?」
現在、世間に流通しているその多くのロボットが人の形をしていない。その理由は、あくまでロボットの与えられた使命はあくまで人の生活をサポートするものだからだ。
「お前、人型のロボットってーとどんなものを知っている?」
「この前特集で職員の9割をロボットにしている高級介護施設の話題をみたのと、イベントに出てた奴くらいかな?」
蝋人形か既存のドールに無理くり動ける機構を付けたような不格好なものだ。
「そいつらは人間に似てたか?」
「どちらかといえば人類の形状に類似していた、と表現するのが正しいレベルだね」
上記の通り、人様そっくりになんか見えやしない。
「つまりだ。お前の言う人間様にそっくりなロボットは、俺たちの間じゃ存在していないものとなる。だが、あくまでトーシローの発言だ。専門家様に聞いて見りゃ話が違うかもしれない」
『瑞稀。検索をするなら当方が適当では?』
瑞稀が言った直後、すかさず“ハル”がそう答えた。
「調べる側に問題があるんだよ。そもそも俺達はその手の話題に詳しくなくてどの辺に目算たてりゃいいかわかんねぇんだ。人間に類似した、なんつったらお前片っ端から画像検索始めるだろ? だったら最初から無駄に詳しくて余計なことを勝手に喋ってくれる奴に聞きゃ話はえーだろ?」
『確かに。当方もそれが最善と考えます』
「つーわけで保津先生そこんとこどーよ?」
そういって僕の後ろ。自分の机に座ってタブレットを眺めていた小柄な眼鏡の生徒に向かって声を掛けた。
「急にふってくるね瑞稀氏は! いきなりふられても話わからないよ!?」
声を掛けられた生徒、保津 穗積(たもつ ほづみ)はびっくりしたように答えた。
「嘘こけお前、さっきからこっちチラッチラ見てただろうが」
半目で保津君に言った。彼は図星だったのか、これだから陽キャは、と小声でつぶやき、しかし、タブレットをもってこちらに近づいてきてくれた。
「で、瑞稀氏は人型のロボットについて聞きたいと?」
「しっかり聞いてんじゃねぇか」
瑞稀の発言を聞いて保津君が睨んだ。
「まぁ、一般的に日本人がロボットが人型であるという認識が強いのは手塚治虫の鉄腕アトム、横山光輝の鉄人28号、藤子・F・不二雄のドラえもん、ガンダム、マジンガーZ、エヴァ等々、ロボット作品全般が人型ロボットという点があると考えられるが、江戸時代のからくり人形の存在から人型を自動で動かすという発想はなされてきた。ただ、これに関しては国内だけではなく海外でもオートマタと呼ばれるからくり人形があった訳で人類はある種、動く人の形をしたものを作り出すという潜在意識があると僕は思うんだ。
で、肝心のその人型のロボットであるんだけれども、現時点で実用化にたるレベルまでは達している。ただし、コストの面で忌諱されているのが現状だ。何せ高性能センサーと最新鋭機械の塊だ。同質量の金塊の2倍の値段がかかると言われている。そいつを使うくらいだったらもっと安価な、それこそさっき言ってた配膳用のロボットだとかを使ったほうが圧倒的に安価に済む。なによう使用用途はあくまで人間の補助を目的としているから別に人型である必要はない。いまや何でもロボットロボットと言われているけど、ようは産業革命以降行われてきた労働の機械化の延長に過ぎないからね。作業を機械にさせるのであれば、その作業ができる形状であれば何ら問題ないわけ。だから、市場に溢れているロボットは圧倒的に人型が少ない。というか、皆無に等しい。
基本的に人間が人型ロボットに求めているのは主にコミュニティケーションなんだと思う。人型のロボットが人間同様に…………」
「ステイ、ステイ、ステイ。先生、先生。ご高説は有り難いんだが聞きてぇのはロボットの知識じゃなくて今現在どんな人型のロボットがあるかだけだ」
早口でまくし立てるように話す保津君の話を瑞稀は止めた。保津君は実に不快そうに瑞稀を睨みつけたが、咳ばらいを一つして再び話出した。
「さっきの会話の内容からして想定は軍用しか考えられないけど、日本で一般的なのは時代遅れの米製品か、在日米軍基地に配備されてるやつかなぁ」
そういって手に持っていたタブレットを操作しだす保津君。
「なんだよ。日本製のロボはねぇのかよ」
実に面白くなさそうに瑞稀は言った。
「あのね。いまや日本はこの分野は周回遅れだよ。さっきも話した通り人型のロボットなんて金塊の塊のようなものだし、現時点では隊員育成の費用をはるかにしのぐロボット開発なんてお国が頷くと思う? そんな事をするくらいなら買った方がマシ、というのがトップの共通認識だよ」
そういうと彼は手に持っていたタブレットをこちらに差し出した。それを瑞稀と一緒に除きこむ。そこに映し出されていたのは宇宙飛行士のような姿をしたロボットだった。
「…………なんだか、随分と不格好な奴だな。アレか、こいつが外部装甲でパージして細身の奴が出てくんのか?」
「そんな訳ないでしょ。これがそのまんまの機体。NA-19"ガーディアン”。まぁ不格好だけど動きはいいよ。ただ、型遅れ感はいなめないなぁ。専守防衛だとどうしても積極的攻勢なんて言葉は無縁だし、陣地を守る、っていうんだったらこの程度でも十分だし。動く砲台って考えれば。ただ、それを言うんだったら無人機のドローンでも大差ないんだけどね」
「で? 先生はこの宇宙服野郎がこいつのみたロボットだと思って言ってんのか?」
「人のこと馬鹿にしている? 瑞稀氏。単純に国内にある裕志氏が話す機体に一致しそうな機体を上げてるだけ。その一例。で、こっちが本命の在日米軍基地に配属されている機体、AM-87、通称“ファイター”。米軍では一般的なロボットだね」
映し出されていたのは流体系のロボットだった。見てくれは全身金属のインナーに包まれ、全面スモークガラスのヘルメットをかぶったような姿をしていた。
「おお、かっこいい。ロボコップみてぇ」
それを見て瑞稀がそんな感想をこぼした。
「瑞稀氏、それ語感で言ってるよね。ピーター・ウェラー、それともジョエル・キナマン?」
怪訝な顔をしていた保津君なそんなことを聞く。
「なんだそりゃ?」
「アレックス・マーフィー巡査だよ」
実に面白くなさそうに保津君が答えた。こだわり、の部分なんだろう。正直僕にもよくわからない。
しかし、技術の進歩は著しい。ロボットもあの宇宙服が流体系になるのだから。それはそれとして、一つ待ってほしい。
「ところで疑問なんだけどいいかな、保津君」
「なんだい、裕司氏?」
「軍用ってことで画像を見せてもらったけど、これってあれじゃない。それこそスター・ウォーズとかガンダムとかその辺りの兵器っぽいやつ」
「というか、お言葉の通りの純100%軍用の兵器ですな」
「さっきの話、僕が見たのって人類に類似した機械、ではなく人類そのままって感じの姿だったんだよね。確かに見せてもらったものは、もしかしたら飛べる機構も持ち合わせてるのかもしれないど、こういうのじゃないくて…………」
そこまで話してぎょっとした。話を聞いていた保津君が、その話する? て表情を浮かべてこちらを見ていたのだ。
彼は少し考えてから見せたタブレットを引っ込み、操作してから再びこちらに差し出してきた。
画面に映っていたのはシリコン製の人の顔を被ったロボットだった。
「うわ、怖ッ! つか、何これ?」
見た瑞稀が叫んで保津君に聞いた。
「これでもマシになってる方ですよ。因みに先の答えに格好良く答えるならこいつはセクサロイドでして」
「先生。わかりやすく」
「…………まぁ、早い話がラブドールですよ」
聞いた瑞稀が真剣な表情をして。
「…………先生、そういうの趣味なの?」
なんて言った。
「ほらぁ、やっぱりそういう話になる!」
顔を赤くして抗議する保津君を他所に、理解者面して、わかったわかった、と両手を上げた瑞稀。
「年頃の男の子ですもんね。そういうのに興味あるものね」
「あのね、瑞稀氏。僕はね、そういうスケベ心を出してこの手合いを見ていた訳でなく、純粋な技術の研究の為に拝見しているわけですよ?」
「ちなみに、なんでこんなものを?」
人間に似たロボット、ということで話を聞いていたが、なんでか性処理ができるロボットを提示されたのか?
というか、よく"倫理規定"に引っかかんなかったよね?
「それは、まぁ、なんというか。人の業といいますか、男の業といいますか。ロボット開発がまだ大学やら一般企業が主流だったころはそこまででもなかったんですが、技術の普及と基礎素材の値段の下落から一般の人も参入できるようになりまして。そうなってくると無駄にこだわりを持つ野生の変態がその辺に現れるようになりまして次々に作品? 作成に手を染めるようになり始めた次第でして。もちろん、女性の地位向上やら権利団体とのやりあいもありましたが、人類が生まれてから備わった機能。この100年くらいでどうのこうの、という意識改革も起きる訳もなく、何が言いたいかといわれればすべての原動力はスケベに勝るものはない、と」
「つまり?」
「人間の表情表現に関してはこの手の産業が一歩抜きんでてるんですよね、ハイ」
「救えねぇなぁ」
聞いた瑞稀が呆れた表情を見せた。
「ちなみに瑞稀氏。理想の彼女を作れるとしてたらどうします?」
真剣な表情で保津君が瑞稀に向けていう。
「ここ百年で人類が滅亡するレベルで少子高齢化が進む」
同様に真剣な表情で瑞稀が切り返し、互いにがっと握手した。なんだこれ?
しかし、提示された画像を見ると確かに人の顔ではあるんだが、見れば見るほど造り物感が拭えない代物だった。
「でも、結局これって人形っぽいよね?」
「まぁ、機械にシリコンの皮被せたって人に近づくわけないですからね。他にも機体自体を人間の顔に見立てて整形したものもあるけど、プラスチック感というかなんといいますか、やはりどうしても造り物感が拭えませんな」
「僕の見たものは本当に人間に瓜二つだったんだ」
「すると、裕志氏の話を総合すると完璧に人の姿をしたロボットが空を飛んでいた、と? ちなみに空を飛ぶにあたって米軍でさえ推進力が必要になりますよ?」
「そういうのがなしで、っていう条件では?」
聞いた保津君が肩を竦め、HAHAHA、とオーバーに笑い。
「裕志、あなた疲れているのよ」
そう言って肩を叩いた。
「保津君まで瑞稀と同じことを言う!?」
「荒唐無稽が過ぎますぞ、裕志氏。推進力もなくて遥か高く跳ぶ人類に瓜二つなロボットなんてこの世には存在していない。そんなものが存在しているとするのであればおそらくは」
そういって保津君は彼自身の頭をつついてみせた。
「珍しく保津先生と同意見だ。話聞く前に言ったけどお前勉強のやり過ぎで疲れてんだよ」
そう言ってケタケタと瑞稀は笑った。二人して馬鹿にして、と思い抗議しようとした時、休み時間の終わりを告げる鐘がなった。
「おっと。裕志のバカ話に付き合ってたら時間になっちまった。次理科だから移動だろ。つか"ハル"よ、時間になるんだったら知らせろよ」
『瑞稀。これは我々"ADL"の総意ですが、正確な時刻を告げても大よそみなさん守ってくれません』
「だから言わないってか。しっかり学習なさって優秀なこって」
そういうと瑞稀は机の中から教科書と筆記用具を取り出した。
「悪いが先に行くぞ。田中に目ぇつけられたんだ。これ以上小言は聞きたくないんでな」
そう言って一足先に教室を後にする瑞稀。
「裕志氏。万が一にも氏が言った話が事実ならそれは世間を揺るがす一大事ですぞ。間違って本当にそんなものがあるんだったら教えて欲しいですな。もしかしたら、歴史の分岐点に立ち会えるかもしれないので」
いつの間にか教科書を手にていた保津君も足早に教室をさる。気づけば僕だけが教室に取り残されていた。
「もしもなにも、本当にいたんだけどなぁ」
誰もいない教室でひとりごちる。
「"ヘレナ"。本当に昨晩の録画データはない?」
『裕志。これで15回目の質問ですが、昨晩のカメラ撮影をした事実は存在しておりません』
15回目の回答を聞いてため息をこぼす。
何もかもが僕を否定している。けれども、確かに彼女はいたのだ。
昨日のあの夜。燃え上がる空に浮かぶ一人の少女の姿。誰もが幻と言う彼女は間違いなく僕の記憶の中にあった。
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